研究課題
本研究は、治療困難な難治性てんかんに対する新たな治療法の開発を目的として、「大脳皮質における過剰同期性の特性解析とその抑制」をキーワードに、動物実験研究と臨床てんかん研究の両側面を総合的に進めるものである。平成23年度の実績は以下の通りである。(1)多点皮質脳波・単一ニューロン発射の同時記録用の電極開発を進めた。側頭葉てんかん5例、前頭葉てんかん1例、頭頂葉てんかん1例に約3週間の留置を行い、多点皮質脳波と単一ニューロン発射の同時記録を行った。本邦では初の試みであり、その結果を電極の記録効率、耐性の観点から解析し、日本脳神経外科学会総会やSingle-unit Recording of Human Brains学会で発表した。(2)平成22年度に確立した迷走神経刺激療法臨床例における迷走神経誘発電位の測定記録をさらに進め、誘発電位の特性を明らかにした。臨床的な迷走神経刺激における上行性の神経伝達をはじめて証明するものであり、これについて学会発表を行い、論文を完成させた。(3)臨床てんかん症例における軟膜下皮質多切術と海馬多切術の長期的な発作抑制効果や機能温存効果を検証した。術後発作転帰はほぼ切除手術に匹敵するものだが、まれに長期経過中に悪化する症例の特性を検討した。また、切除術に比して良好な機能温存効果が確認されたが、回復後の悪化例がありうることが明らかとなった。(4)側頭葉てんかんに対する海馬摘出手術中に、微小電極を海馬に刺入し、てんかん性異常波の出現に関する特性解析、さらに切除の各ステップにおける異常波の変化に関する解析を開始した
2: おおむね順調に進展している
実績概要に記したように、ほぼ予定通りに研究が進んでおり、それに伴った成果の学会発表や論文発表ができている。
次年度は最終年度となるので、成果のまとめに入る。一方で、本研究により新しく得られつつある知見、特にヒト及びラットにおける単一ニューロン発火の多点計測については、発展させた形で新しいプロジェクトに組み込むことを検討してゆく。
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