研究課題/領域番号 |
21390408
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
夏目 敦至 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (30362255)
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研究分担者 |
若林 俊彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50220835)
鈴木 正昭 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング科学研究センター, 副センター長 (90093046)
古山 浩子 岐阜大学, 医学研究科, 助教 (50402160)
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キーワード | 脳腫瘍 / エピジェネテュクス / ヒストン / メチル化 / 治療 |
研究概要 |
悪性脳腫瘍に対する治療は現時点でも根治は困難であり、この現状の課題を克服するために、さまざまな分子標的治療薬の開発がすでに大きく進展している。しかし、これら治療薬の標的分子の多くは、正常組織においても重要な働きをしていることから、治療薬の安全性及び有用性の評価は最終的には臨床研究に委ねられている。一方、脳腫瘍幹細胞のコンセプトは、腫瘍発生のしくみを明らかにすることで新しい治療薬を開発できる可能性を提示している。そのしくみの解明の糸口として、我々は近年、ゲノムの変化を伴わず遺伝子発現を制御するエピジェネティクスな変化が腫瘍細胞への誘導の重要な引き金を担っていることを証明してきている。エピジェネティクスは可逆的であり、その変化をリプログラミングできる。本研究では腫瘍発生に関わるエピジェネティクスの観点からリプログラミング療法の研究開発を目指すことが目的である。それを達成するために今年度は以下の研究を行った。 課題(1)術中MRIを駆使した摘出した手術検体より脳腫瘍幹細胞の培養の確立 これまで研究代表者らは、約50症例以上の膠芽腫の臨床検体から組織培養をし、特殊の条件培地と培養皿によって、細胞のsphere形成能、自己複製能、神経・グリアへの多分化能を有することを証明してきている。しかし、不均一な腫瘍内での腫瘍幹細胞の局在は未だ未解明である。そこで、術中MRIを用いて、リアルタイムに局在を同定した腫瘍をそれぞれ培養し、効率のよい培養系を確立した。 課題(2)脳腫瘍幹細胞の分化制御に関わるエピジェネティクス機構の解明 腫瘍幹細胞の自己複製による維持と腫瘍細胞への分化誘導を制御するエピジェネティクス機構を明らかにするため、ChlP-chip法、および研究代表者らが共同開発したMethylated CpG Amplification Microarray (MCAM)を用いて網羅的にヒストンH3リジン4メチル化(H3K4-Me), H3K27-MeおよびDNAメチル化の標的遺伝子を解析する。44K Human cDNA microarray (Agilent)での発現解析との比較を行った。
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