研究課題
四肢及び体幹の骨格は内軟骨性骨化の過程を経て形成される。即ち、未分化間葉系細胞は凝集し、凝集間葉系細胞は軟骨細胞へと分化する。軟骨細胞は増殖しながら軟骨細胞外マトリックスを構築して、軟骨原基を作る。軟骨原基の中心部では、軟骨細胞の増殖が止まり、肥大化が始まる。肥大軟骨細胞はやがてアポトーシスに陥り、骨組織に置換されて、骨格が形成される。この過程は正常な骨格の形成に必須の過程である。我々はSalt-inducible kinase 3 (SIK3)ノックアウトマウスでは、軟骨細胞の肥大化のステップが障害されていることを発見した。SIK3ノックアウトマウスは軟骨が増大し、骨格の内部は軟骨で充填されていた。生後のSIK3ノックアウトマウスの関節軟骨は著しく肥厚していた。免疫組織学的解析では、SIK3ノックアウトマウスでは、増殖軟骨細胞のマーカーであるII型コラーゲンの発現が続き、肥大軟骨細胞のマーカーであるX型コラーゲンの発現が抑制されていた。SIK3の発現は増殖軟骨細胞で低く、前肥大軟骨細胞と肥大軟骨細胞で高かった。野生型コントロールマウスの軟骨細胞ではHDAC4は核外に局在していたが、SIK3ノックアウトマウスの軟骨細胞では、HDAC4が核内に存在していた。細胞生物学、生化学的解析により、SIK3は細胞質に存在し、HDAC4と結合して、HDACの核外移行を促進することが判明した。軟骨細胞の肥大化は、転写因子MEF2Cによって促進される。軟骨細胞はSIK3を発現し、HDAC4を核外移行させて、MEF2CをHDAC4による抑制から解放することによって、肥大化すると考えた。これらの結果から、SIK3が軟骨細胞を増殖から肥大化分化へスイッチする、キー分子であると考えた。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)
Development
巻: 139 ページ: 1153-1163
10.1242/dev.072652
J.Bone Miner.Res.
巻: 26 ページ: 2511-22
10.1002/jbmr.477
Biochem.Biophys.Res.Commun.
巻: 411 ページ: 607-12
10.1016/j.bbrc.2011.06.194
CLINICAL CALCIUM
巻: 21 ページ: 839-844
巻: 21 ページ: 1863-1870
医学の歩み次世代iPS医療
巻: 239 ページ: 1332-1337