研究概要 |
本研究の目的は、安全で正確な手術を実現するために関節鏡および最小侵襲人工膝関節置換術の技術開発を行うとともに、効率的なトレーニングシステムを構築し、情報発信やトレーニングセミナーを通じて、その成果を全国の整形外科医に還元し,わが国の整形外科低侵襲手術のレベルアップに寄与することである。 1.新しいトレーニングシステムの開発 単純な鏡視、鉗子、ハサミ操作を訓練するタスクから解剖学的位置情報の把握が必要なタスクまで、システム本体に訓練したいTask Boxを挿入し使用する形態を維持しつつ、合計8種類の基本タスクを含むImage based training boxを作成した。システム本体の指示に従って訓練することで、スコア/エラー数/作業時間などの客観的指標が表示される仕組みになっており、ほぼ実用化レベルに到達した。内視鏡外科手術トレーニングセンターにて実施した関節鏡セミナーにおいて使用し、手術未経験者を対象に従来型の模造骨によるトレーニングと、Training Box、VRシミュレータによる単独訓練および、これらを複合したトレーニング法との比較をおこなったところ、Training boxとVRシミュレータにおいてサイコモータスキルの向上が確認された。 2.VRシミュレータによる技術評価 膝関節鏡シミュレータへの付加機能として搭載要求が高いものに、組織の切断などの「切り心地」に関するものがあり、半月板切除術などがリアルに体験できる優れたシステムに深化させることが可能である。市街地歩行用ナビゲーションシステム(力覚ディスプレイ)の開発過程で得られたノウハウ(違和感をもたせることなく、伝えたい感覚のみを増幅伝達)をベースに、半月板の切断感覚を提示できるシステムの試作と、その実用化の可能性について検討を行った。
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