研究課題
糖ヌクレオチド輸送体Slc35d1およびSlc35d2は、コンドロイチン硫酸(CS)、ヘパラン硫酸の合成材料の供給を担当する。本研究では、成長板や関節軟骨の機能におけるCS鎖機能を解明するため、遺伝子改変マウスを利用し、CSの合成低下の誘導と軟骨の機能について分析を行った。Slc35d1のフロックスマウス[Slc35d1(flox/flox)Slc35d2(Ko/+)及びSlc35d1(flox/flox)Slc35d2(Ko/Ko)]へ、Creリコンビナーゼの発現系を導入、組織特異的、時期特異的に遺伝子を破壊、成体マウス軟骨のCS含量の減少の誘導を試みた。(1) 昨年度、四肢の発生段階でCreを発現するPrxCreTgを導入、遺伝子破壊により四肢が短縮したマウス個体の作製に成功した。本年度は軟骨を組織化学的・生化学的に分析、軟骨CS含量の低下と表現型の相関性を明らかにした。また、長期間飼育し、加齢による影響を調べたが、異常の著しい増加は認められなかった。(2)昨年度、タモキシフェン(TXF)により活性化するCreERTのユビキタス発現系を導入したところ、TXFを腹腔内投与により体重が減少、死亡することを見いだした。本年度は、この致死性を回避出来る様に、関節腔へTXFを注入、関節軟骨特異的な遺伝子破壊を試みた。しかし、関節軟骨CS含量の著しい減少を誘導できなかった。一方、TXFの腹腔内投与による体重減少と致死の原因を組織標本を作製し解析した。その結果、腸管絨毛構造が崩壊している事を見いだした。腸管絨毛の喪失により、栄養分の消化・吸収が阻害され、体重が減少、死亡したと考えられた。ヒトSLC35D1の漏出性変異による疾患は未同定であるが、出生後も長期間生存出来る可能性がある。このマウスモデルの腸管機能異常の原因究明は新たなヒトSLC35D1変異の同定に貢献すると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Biological Chemistry
巻: 288 ページ: 19973-19985
10.1074/jbc.M113.454652.