研究概要 |
培養骨移植モデルにおける移植細胞の挙動に関する研究 骨の再生医療の基礎となる間葉系幹細胞(MSCs)を用いた培養骨移植法の移植細胞にMSCsにQ-dotを導入し、移植後の細胞の挙動と骨形成を観察した。実験は(Kojima,Uemura,J,Biol,Chem,280,2944,2005)に記述の手法により行った。Fisher rat骨髄MSCsを採取し、7日間増殖培養後、モータリン抗体を用いたQ-dot導入を行った。95%以上の効率で量子ドットが導入できた。量子ドット導入、非導入細胞間での増殖曲線に差はなかった、トリプシン処理の後、多孔性セラミックス材料(β-TCP)に播種し、Dexamethasoneなどをsupplementとして加えた骨芽細胞分化誘導培地で2週間培養し、rat大腿骨の欠損モデルに移植した。移植後3週後、16週後に組織を採取し、切片を作製後、H&E染色、オステオカルシン量などにより骨形成を確認した。3週、16週とも骨形成に量子ドットの導入、非導入による差は認められなかった。また、量子ドット導入細胞の数をカウントしたところ、その数が80%を超え、その周囲に新生骨が観察されることから移植細胞がほぼ骨再生に関与していることが分かった。 培養骨移植モデルを用いた量子ドットによる標識法のリスク評価 上記手法により培養骨を移植し8週間経過したラットの肝臓、腎臓、肺、精巣を採取し、元素分析により量子ドットの成分であるカドミウム量を元素分析により測定したところ、天然に存在する量しか検出されなかった。つまり量子ドットはこれらの臓器に蓄積されなかった。また、組織化学的異常は観察されなかった。以上より、モータリンを用いた量子ドット導入による培養骨移植モデルでは、極めて効率的に移植細胞がモニターでき、かつ、ナノリスクは非常に低いことが分かった。
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