研究課題/領域番号 |
21390430
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
廣田 和美 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20238413)
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研究分担者 |
櫛方 哲也 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (80250603)
吉田 仁 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00374843)
大川 浩文 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40322953)
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キーワード | 睡眠障害 / 加齢 / ラット / 全身麻酔 / 神経生理活性物質 / 鎮静 / オピオイド |
研究概要 |
研究1.全身麻酔が睡眠に及ぼす影響の検討 雄性SD系ラット(12-14週齢)において、GABA型麻酔薬プロポフォール(80mg/kg ip)とNMDA型麻酔薬ケタミン(100mg/kg ip)による全身麻酔後の暗期における睡眠を評価した。その結果、プロポフォール麻酔では、麻酔前はNon-REM睡眠が40.7±3.1%、REM睡眠が6.7±1.4%、覚醒が52.6±4.0%であったが、麻酔後の睡眠の各ステージの割合は変化しなかった。一方、ケタミン麻酔では、麻酔前はNon-REM睡眠が39.0±3.9%、REM睡眠が6.7±0.6%、覚醒が53.4±4.4%であったが、麻酔後2日目のREM睡眠の割合が7.6±1.5%と有意に増加した。 研究2.ケタミン全身麻酔後のREM睡眠増加に対する生理活性物質補助効果の検討 覚醒生理活性物質であるオレキシンA(OXA:1nmol)、ニューロペプタオドS(NPS:10nmol)を脳室内に投与し、ケタミン麻酔後のREM睡眠増加を改善するかどうかを検討した。 OXAの効果を見た実験では、生食投与群で麻酔前のREM睡眠が5.8±0.7%でケタミン麻酔後2日目のREM睡眠が8.3±1.0%と有意に増加したのに対し、OXA投与群では麻酔前のREM睡眠が6.5±0.7%で麻酔後2日目のREM睡眠も6.0±0.7%と有意と有意な変化を示さなかった。 NPSの効果を見た実験でも、生食投与群で麻酔前のREM睡眠が5.9±2.2%で麻酔後2日目のREM睡眠が7.0±2.4%と有意に増加したが、NPS投与群では麻酔前のREM睡眠が5.6±1.4%で麻酔後2日目のREM睡眠も4.9±2.4%と有意と有意な変化を示さなかった。 以上より、ケタミン麻酔後にREM睡眠がリバウンド的に増えるが、OXAやNPSがREM睡眠増加を抑制したことから、OXAやNPSはそれを予防することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケタミン麻酔では、予想通り麻酔後の睡眠障害が生じたが、プロポフォール麻酔に関しては、当初予想したほど、麻酔後の睡眠障害が起こらなかった。その結果、ケタミン麻酔に関して重点的に研究を行なうことになった。各種サイトカインの測定は、感度の限界付近での変化が中心であり、判断が難しい。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、睡眠障害と脳内生理活性物質との関連を見ているが、OXA、NPS、サイトカインで見ていたが、感度の関係で無塚しい事が分かったので、MCHの測定を加えることとした。予備実験でも、十分感度に余裕があり、データの蓄積を図る。
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