研究課題/領域番号 |
21390431
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
山崎 光章 富山大学, 医学薬学研究部, 教授 (70158145)
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研究分担者 |
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (40318613)
畠山 登 富山大学, 大学病院, 准教授 (70251907)
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キーワード | 豊かな環境 / 神経新生 / 神経障害性疼痛 / ファンクショナルMRI / ダイノルフィンA / オピオイド受容体 |
研究概要 |
豊かな環境(EE)飼育群(感覚・運動刺激が抱負な条件下でマウスを4週間飼育)では、通常飼育群と比較して、海馬歯状回顆粒細胞下層におけるnestin(神経幹細胞に特異的に発現)に違いはなかったが、doublecortin(神経芽細胞や未熟な神経細胞に発現)活性、Neuro D(神経への分化に促進的に働く転写因子)陽性細胞数、BrdU(細胞増殖マーカー)陽性細胞数が増加した。EE飼育群では、視床下部におけるPOMCとPDYNのmRNAには変化がなかったが、PENK(δオピオイド前駆体)mRNA発現量が増加した。また、δオピオイド作動薬であるSNC80投与群では、海馬歯状回顆粒細胞下層におけるNeuroD陽性細胞数が増加した。EE飼育によって認められたdoublecortinおよびNeuro D陽性細胞増加は、坐骨結紮により抑制された。これらより、EE飼育では、海馬において神経新生が促進され、この新生にδオピオイド神経系が関与していることが明らかとなった。また、神経障害性疼痛が神経新生促進作用を抑制することが示された。 Freund adjuvantを用いた痛みモデルでは、帯状回、感覚野、島、視床においてファンクショナルMRIのシグナルの増強が認められた。これらの影響は、プロダイノルフィンノックアウトマウスでは認められなかった。プロダイノルフィンmRNAとダイノルフィンA(内因性κ受容体作動性オピオイド)がこのモデルの同側の脊髄において強く発現した。ダイノルフィンAを脊髄中に注入すると、疼痛行動を生じ、上記脳領域における活動性を増加させた。MK-801(NMDAアンタゴシスト)は、ダイノルフィンAによる痛み行動やシグナル増強を抑制した。これらは、ダイノルフィンAが脊髄後角のNMDA受容体を介して上行性に痛み刺激を活性化することを示唆する。
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