研究課題/領域番号 |
21390434
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10110785)
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研究分担者 |
柴田 政彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (50216016)
井上 隆弥 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00335358)
中江 文 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (60379170)
松田 陽一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00397754)
住谷 昌彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80420420)
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キーワード | CRPS / 注意 / 錯視 / 共感 / 催眠 / 神経障害性疼痛 / セロトニン2C受容体 / RNA編集 |
研究概要 |
1)錯視を用いた疼痛に対する注意の定量化および痛みの他者理解とその認知的影響に関する研究 注意と疼痛の直接的な関係性を解明するために、線運動錯視と呼ばれる注意の方向と強さを定量化する心理物理実験を行った。健康成人10名とCRPS患者19名において、モニター画面に画面左右半空間のいずれか一方に先行刺激を提示した後に、画面中央に線分を提示し、線分が左右のどちらから描画されたように見えた(錯視)かを判断させた。その結果、健常者では先行刺激から線分を提示するまでの時間と錯視の左右性がプロピット関数で表現できて注意は正中に収束していたが、CRPS患者では注意が患側に有意に偏位していた。さらに、3次元コンピューターグラフィックスで描画した女性(VH)の上半身を提示し、VHを中立,悲哀,苦悶を想定した表情を表出させ、健常被験者15人に観察させ、それぞれの表情から推察される痛みの強さをNRSで回答させた。その結果、痛みへの共感を示すときには被験者の痛覚閾値も低下することが明らかになった。 2)催眠による認知的評価と痛みの変化に関する研究 健康成人を対象にして、催眠が痛みの耐性と認知的評価に影響するかどうかを検討した。催眠状態では覚醒状態に比べて痛みの軽減がみられたが、これは痛み刺激の解釈の仕方が変化したためと考えられた。 3)三叉神経の神経障害性疹疼痛モデルラットにおけるセロトニン2C受容体の関与に関する研究 セロトニン2C受容体(5HTR2C)は、疼痛行動が鋭敏になると受容体機能が高くなるRNA編集が起こるが、5HTR2Cが疼痛行動を抑制するかどうかについては明らかでなかった。三叉神経の神経障害性疼痛モデルラットにおいて、5HTR2C作動薬を投与すると疾痛閾値の上昇を認め、その変化は5HTR2C拮抗薬の前投与で減弱した。本研究の結果は、5HTR2Cは神経障害性疼痛の減弱に関与していること、この効果にはRNA編集による5HTR2C作動薬に対する感受性上昇が寄与していることを示唆している。
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