研究課題/領域番号 |
21390445
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00213885)
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研究分担者 |
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20338180)
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (30445407)
中川 健 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50227740)
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90245572)
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10286552)
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キーワード | 上皮-間葉転換 / 腎細胞癌 / Snail / 転移 / 浸潤 / E-cadherin |
研究概要 |
腎細胞癌の病理組織では腫瘍の浸潤部に紡錘形の脱分化を示唆する細胞隗が存在することを我々は発見した。このことは腎細胞癌進展において上皮一間葉転換(epithelial-mesenchymal transition:EMT)が生じていることを示唆する。Snailは細胞接着因子であるE-cadherin発現を抑制し、細胞外マトリックス分解酵素であるmatrix metalloproteinase(MMP)発現を誘導するEMTに関与する転写因子である。本研究では腎細胞癌におけるSnailの発現を検討し、臨床病理学的因子や予後との相関を検討し、さらにsiRNAを用いてin vitroにおけるSnailの機能解析を行った。原発性腎細胞癌97例(淡明細胞癌83例、乳頭癌10例、嫌色素細胞癌4例)を対象にSnailとE-cadherin発現を免疫組織学的に検討した。腎細胞癌由来の細胞株786-0を使用し、Snail発現をsiRNAによって抑制し、E-cadherinとMMP発現の変化を定量PCRによって測定するとともに、マトリゲル法を用いて浸潤能を測定した。SnailはG3の淡明細胞癌において高発現しており、G1あるいはG2の淡明細胞癌,乳頭癌、嫌色素性細胞癌では発現が低かった。E-cadherin発現は嫌色素細胞癌において高く、他の組織型では低かった。Snail高発現・E-cadherin低発現例は再発率が高く、予後不良であった。Snail発現を抑制すると、E-cadherin発現の上昇とMMP9発現抑制を認め、マトリゲル上での浸潤能が低下した。SnailはE-cadherin発現を抑制することによって細胞接着を低下させ、さらにMMP発現を誘導し細胞外マトリックスの分解を促進することによって癌細胞の浸潤能を尤進することが示唆された。
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