研究課題
本研究の目的は、1)"Tregバンクによる術後感作性免疫寛容療法"と、MF-1遺伝子導入による"移植腎組織保護遺伝子導入療法"を併用することによる全く新しい免疫寛容導入法を開発、および、確立し、移植腎の永久生着を実現させることである。本年度の実験成果として「CD28-SA、および、HGF投与下にCD34+幹細胞との共培養よるin vitroでのTreg培養増殖(Tregバンクの作成)」があげられる。我々は、CD28-SA(1mg/L)、および、HGF(10・g/L)を添加し、CD34+幹細胞(1×10^4/ml)とCD4+CD25+ Treg(1×10^4/ml)をRPMI1640, 10%FBS, Streptomysic/penicirin,の培養液で培養し、ドナー非特異的なCD25^+CD4^+Treg細胞を少なくともラットにてin vivoでの実験を行うに充分量獲得可能であることを確認した。Tregバンクによる術後感作性免疫寛容療法は、これまでのレシピエントに抗体を直接投与する方法とは全く異なり、無処置ラットの抹消血液中から収集したCD4+CD25+非特異的免疫制御細胞を、強力な細胞増殖因子であるhepatocyte growth factor(HGF)、および、CD28 Superagonist(CD28-SA)投与下に、マウスから抽出したCD34+幹細胞と共培養することによってin vitroでの細胞培養により充分に増殖させ(すなわち必要量のNS-Treg cellをいつでも供給可能なTregバンクが得られ)、移植術前のレシピエントに投与することによって、移植後、ドナー特異的な免疫寛容を獲得する非抗体投与一免疫寛容誘導法である。これまでの免疫寛容導入法では、レシピエントに抗体を直接投与する方法がほとんどで、その際、1)充分な抗体量の確保が困難であること、および、2)重篤な副作用が出現することがあること、などの理由から臨床応用が難しいのが現状であった。しかし、本治療法では、レシピエントに抗体を直接投与を行わないため、抗体による重篤な副作用を回避でき、安全な免疫寛容導入法である点で非常に画期的である。今後、Tregバンクにより獲得したTregをラット腎移植モデルの移植術前のレシピエントにadoptive transferすることによってドナー特異的な免疫寛容を獲得することを確認する予定である。
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