研究概要 |
目的:ハイグレード卵巣がんは予後不良といっても、様々であり全体の約40%弱の患者が5年生存、治癒する。進行期卵巣がん症例のなかから本当の予後不良群を選び出し、新規の治療戦略をたてるために、腫瘍組織の遺伝子解析の結果を踏まえて、予後予測モデルを作る事を目的とした。 実験法:六つの異なる基盤上の1054症例を対象に解析した。まず、日本人の260例を対象に統計処理により予後予測モデルを作成、次にその有用性を他の5つの基盤上にある794例で検証した。次に、予後予測モデルで分けられた良好群、不良群の遺伝子の変化を解析した。 結果:126遺伝子による予後予測は日本人のデータは言うに及ぼず他の5つの基盤上の外部データでも有効であった。(日本人データセットA:多変量解析P=4×10^<-20>、Toothill's dataset, P=1×10^<-5> ; Bonome's dataset, P=0.0033 ; Dressman' s dataset, P=0.0016 ; TCGA dataset, P=0.0027;日本人データセットB,P=0.021). 更に、予後不良群腫瘍組織では、免疫応答とりわけ細胞障害性T細胞へ腫瘍抗原を提示する機能が極端に低下している事が認められた。 結論;126遺伝子による予後予測は画期的且つ信頼性の高いものであり、ハイグレード卵巣がんの中でも、とりわけ予後の悪い症例に対する新しい治療戦略の確立に有望と期待される。
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