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2009 年度 実績報告書

卵巣癌播種性転移における癌細胞"進化"のゲノムワイド解析とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 21390452
研究機関京都大学

研究代表者

小西 郁生  京都大学, 医学研究科, 教授 (90192062)

研究分担者 万代 昌紀  京都大学, 医学研究科, 講師 (80283597)
松村 謙臣  京都大学, 医学研究科, 助教 (20452336)
馬場 長  京都大学, 医学研究科, 助教 (60508240)
八木 治彦  京都大学, 医学研究科, 助教 (70402857)
鈴木 彩子  京都大学, 医学研究科, 助教 (90378696)
キーワード卵巣癌 / 播種性転移 / メチル化 / TGFβ / 低分子化合物 / マイクロアレイ
研究概要

39種類の卵巣癌細胞株に5Aza-dCを添加して遺伝子発現の変化を調べたマイクロアレイデータを元に、卵巣癌における378個のメチル化遺伝子リストを作成した。それらのメチル化遺伝子群にはTGF^+β経路の遺伝子が多く含まれていた。さらに脱メチル化剤5Aza-dCの添加によって、TGFβ活性が亢進することがわかった。
卵巣癌の臨床サンプルのマイクロアレイデータを用いて原発巣と大網転移巣を比較すると、大網転移巣においてTGFβ経路の活性亢進とメチル化遺伝子群の発現亢進を認めた。さらに免疫組織染色による検討でも、大網転移巣においてTGFBR2の発現亢進および、TGFβ経路活性の指標であるリン酸化SMAD2の発現亢進を認めた。また、卵巣癌原発巣と大網転移巣のペア7症例の凍結標本による検討で、TGFBR2遺伝子のプロモーター領域のメチル化は大網転移巣で減少している傾向が認められた。したがって、卵巣癌の大網転移ではTGFβ経路が活性化しており、その分子メカニズムとしてエピジェネティックな遺伝子発現制御が関与していることが示唆された。
TGFβ経路の阻害剤であるA-83-01は、マウス卵巣癌細胞株HM-1の浸潤、遊走、接着をin vitroで抑制し、in vivoでは腹膜播種性転移モデルマウスの生存期間を延長させた。したがってTGFβ阻害剤A-83-01は、卵巣癌の転移に対する治療薬として有用と考えられる。本研究成果は、卵巣癌の播種性転移の分子メカニズムを明らかにし、新たな分子標的療法を開発することにつながる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of an ovarian clear cell carcinoma gene signature that reflects inherent disease biology and the carcinogenic processes2010

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi K, Mandai M, Oura T, Matsumura N, Hamanishi J, Baba T, Matsui S, Murphy SK, Konishi I.
    • 雑誌名

      Oncogene 29

      ページ: 1741-1752

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Activated local immunity by CC chemokine ligand 19-transduced embryonic endothelial progenitor cells suppresses metastasis of murine ovarian cancer2010

    • 著者名/発表者名
      Hamanishi J, Mandai M, Matsumura N, Baba T, Yamaguchi K, Fujii S, Konishi I.
    • 雑誌名

      Stem Cells. 28

      ページ: 164-173

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Minimal deviation mucinous adenocarcinoma ('adenoma malignum') of the uterine corpus2010

    • 著者名/発表者名
      Abiko K, Baba T, Ogawa M, Mikami Y, Koyama T, Mandai M, Konishi I.
    • 雑誌名

      Pathol Int. 60

      ページ: 42-47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Targeting slow-proliferating ovarian cancer cells2010

    • 著者名/発表者名
      Kondoh E, Mori S, Yamaguchi K, Baba T, Matsumura N, Cory Barnett J, Whitaker RS, Konishi I, Fujii S, Berchuck A, Murphy SK.
    • 雑誌名

      Int J Cancer. 126

      ページ: 2448-2456

    • 査読あり
  • [学会発表] 卵巣癌における化学療法感受性バイオマーカーの開発と組織型による分子標的の同定-治療個別化に向けた Bioinformatics2009

    • 著者名/発表者名
      松村謙臣
    • 学会等名
      第61回日本産科婦人科学会 シンポジウム
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2009-04-04

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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