研究課題/領域番号 |
21390452
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 郁生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90192062)
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研究分担者 |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 講師 (80283597)
松村 謙臣 京都大学, 医学研究科, 助教 (20452336)
馬場 長 京都大学, 医学研究科, 助教 (60508240)
八木 治彦 京都大学, 医学研究科, 助教 (70402857)
鈴木 彩子 京都大学, 医学研究科, 助教 (90378696)
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キーワード | 卵巣癌 / 播種性転移 / メチル化 / TGFβ / 低分子化合物 / マイクロアレイ |
研究概要 |
39種類の卵巣癌細胞株に5Aza-dCを添加して遺伝子発現の変化を調べたマイクロアレイデータを元に、卵巣癌における378個のメチル化遺伝子リストを作成した。それらのメチル化遺伝子群にはTGF^+β経路の遺伝子が多く含まれていた。さらに脱メチル化剤5Aza-dCの添加によって、TGFβ活性が亢進することがわかった。 卵巣癌の臨床サンプルのマイクロアレイデータを用いて原発巣と大網転移巣を比較すると、大網転移巣においてTGFβ経路の活性亢進とメチル化遺伝子群の発現亢進を認めた。さらに免疫組織染色による検討でも、大網転移巣においてTGFBR2の発現亢進および、TGFβ経路活性の指標であるリン酸化SMAD2の発現亢進を認めた。また、卵巣癌原発巣と大網転移巣のペア7症例の凍結標本による検討で、TGFBR2遺伝子のプロモーター領域のメチル化は大網転移巣で減少している傾向が認められた。したがって、卵巣癌の大網転移ではTGFβ経路が活性化しており、その分子メカニズムとしてエピジェネティックな遺伝子発現制御が関与していることが示唆された。 TGFβ経路の阻害剤であるA-83-01は、マウス卵巣癌細胞株HM-1の浸潤、遊走、接着をin vitroで抑制し、in vivoでは腹膜播種性転移モデルマウスの生存期間を延長させた。したがってTGFβ阻害剤A-83-01は、卵巣癌の転移に対する治療薬として有用と考えられる。本研究成果は、卵巣癌の播種性転移の分子メカニズムを明らかにし、新たな分子標的療法を開発することにつながる。
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