交流磁場付加凍結法の有効性については、ラット卵巣凍結における交流磁場付加の影響を形態学的に検討した。また、これまでの研究でブタ卵巣凍結において交流磁場を用いた緩速法により融解後に形態学的正常性が改善することが明らかとなっているがため、対照として近年その有効性が他の哺乳動物で報告されているガラス化保存のブタ卵巣における有効性を検討したが、マウス卵巣嚢内への異種移植では生着率が極めて低率であった。ブタ卵巣が多数の胞状卵胞を含有することがガラス化保存液の組織との平衡を妨げていると考えられる。さらに、マウス卵巣凍結における交流磁場負荷の影響を解析するため、同一機種のプログラムフリーザーで磁場有り、無しの状態で凍結した卵巣を凍結中であり、次年度に形態学的解析、およびNOD-SCIDマウス卵巣部への移植により有用性の検定を行う予定である。 血管系付き凍結融解卵巣移植の予備実験として、ブタ卵巣を対側の卵巣部へ(凍結無しで)移植し、6ヶ月後性周期の回復と、卵巣から分泌されるインヒビン値が卵巣摘出ブタより有意に高値であることから、卵胞発育を確認した。 また凍結卵巣自家移植時の卵胞死滅の主因であるといわれる阻血の影響を緩和するため、アシアロ化エリスロポエチン投与が有効であることを、凍結融解イヌ卵巣のNOD-SCIDおよびNOGマウス卵巣への異種移植により検証した。加えて、最終年度に施行予定である卵子の正常性解析のための遺伝子発現解析法について、マウスをモデルに単一、あるいは数個の卵子を資料として解析する方法を確立した。
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