研究課題
加齢ES細胞では、Wntシグナル関連遺伝子の発現低下が認められたため、Wnt-β-Cateninシグナルに注目した。β-Catenin遺伝子を精子及び卵子発生過程で組織特異的に欠損させた系を用いて、β-Catenin遺伝子欠損受精卵の胚盤胞への初期胚発生とその評価としてES細胞の作製を行った。すでに報告のあるノックアウト実験では、着床後すぐに(E6.5-7.0)胚性致死となるが、β-Catenin遺伝子欠損受精卵は胚盤胞まで発生することを確認した。次に、卵子の質の本質である全能性、その代替として分化多能性に与える影響を明らかにするために、胚盤胞からES細胞樹立を行った。胚盤胞の内部細胞塊(ICM)の必須な性質とて分化多能性があり、β-Catenin遺伝子欠損と分化多能性獲得の評価としてES細胞樹立検証の結果、ES様細胞の樹立に成功した。分化多能性の解析から、β-Catenin遺伝子欠損-ES細胞は外胚葉・内胚葉・中胚葉の各正常分化組織へ分化することがなく、明らかに分化多能性が欠落していた。これまで、加齢ES細胞の特徴として細胞接着系の遺伝子発現が低下していることを明らかにしてきたが、このβ-Catenin遺伝子欠損-ES細胞はα-CateninやE-Cadherinなどのタンパク質の発現に異常は認められなかったが、Plakoglobinは定性的な解析ではあるが、免疫組織染色で明らかに発現が上昇しており、β-Cateninの機能不全を補完していることが示唆された。さらに、β-Cateninの機能不全により組織恒常性の維持が破綻し、in vivoでβ-Catenin遺伝子欠損-ES細胞が混合型悪性胚細胞腫瘍となることを掴んだ。胎盤の癌を含めた悪性胚細胞腫瘍発生を再現させた世界で初めての報告であり、胚細胞腫瘍癌化を明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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