研究課題/領域番号 |
21390457
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 俊光 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80133958)
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研究分担者 |
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (50169728)
犬島 猛史 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40241608)
鎌倉 慎治 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (80224640)
中谷 和弘 東北大学, 病院, 助教 (60466563)
日高 皓史 東北大学, 病院, 講師 (40302103)
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キーワード | 内耳切断 / 内耳保護 / イオン / 内耳電 / モルモット |
研究概要 |
本年は前年の結果を踏まえ、部分的な内耳破壊に対する蝸牛保護機能の検討を行った。前庭開放にて内リンパ電位の永続的な低下、並びにカリウム濃度の一時的な低下を来たすことが昨年度の研究により明らかとなったため、前庭開放時に、人工外リンパ液、人工内リンパ液、蒸留水のそれそれの液体を用いて急性期における内耳保護の可能性を内リンパ電位、並びにカリウム濃度を指標として検討した。内リンパ電位並びにカリウム濃度の測定においてはハートレーモルモットを用いて、蝸牛の第二回転よりダブルバレル電極を用いて測定を行った。前庭開放はepitympanic bulla経由にてドリルによって行った。いずれの群においてもコントロール群と比較し内リンパ電位の低下を有意に抑えることができたが、各群での有意な差は認められなかった。カリウム濃度は人工内リンパ群において他の群と比較してやや高い傾向が認められたが、測定終了時の濃度には各々の群において有意な差を認めなかった。このことから、急性期においては、用いる液体のイオン濃度にかかわらず液体を障害部位周囲に十分に満たすこと、すなわちリンパ液の急激な漏出を防止することが、前庭開放時の蝸牛機能をある程度温存することに最も寄与する可能性が示唆された。今後は今回の急性期の検討のみならず、慢性期における蝸牛機能並びに組織学的な検討をに行い、将来的な臨床応用に向けてさらなる研究を行っていくことが重要であると考えられた。
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