研究課題
進行頭頸部癌に対しては、従来から手術、放射線、抗癌剤を様々に組み合わせた治療が行われてきたが、治療後の患者のQOLの障害は強く、一方で予後も依然として不良である。治療成績の改善、患者負担の軽減のために新しい治療戦略が求められて近年その存在が明らかとされ、自然免疫に大きな役割を果たすNKT細胞免疫系は患者のMHCに規定されずに高い抗腫瘍効果が期待され、さらにこれまでの検討で鼻粘膜への抗原提示細胞の投与は有効に抗腫瘍免疫応答を引き起こすことを示してきた。そこで、頭頸部癌でも予後不良な4期中・下咽頭癌を対象にNKT細胞のリガンドであるα-galactosylceramideをパルスした抗原提示細胞の鼻粘膜投与が、標準治療後のアジュバント療法として有効かどうかをパルスしていない抗原提示細胞(通常の養子免疫療法に相当)の投与を対照としたランダム化比較試験を行った。20症例の投与が終了し、その経過と症例の更なる蓄積を続けている。また、頭頸部領域の発生が多く予後不良な粘膜悪性黒色腫に対して近年重粒子線治療の有効性が注目されているが、治療後の遠隔転移の制御が課題とされる。そこで、抗がん剤治療に代わる重粒子線治療後のアジュバント治療として、重粒子治療後にCRと判断される症例にα-galactosylceramideをパルスした抗原提示細胞の鼻粘膜投与の有効性をhistorical control studyとして行った。その結果、18症例の投与が終了し、平均24カ月経過したが、これまでの解析では免疫療法を追加した群では生存率の向上への寄与が認められた。
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