研究課題/領域番号 |
21390459
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
喜多村 健 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90010470)
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研究分担者 |
木村 百合香 東京都健康長寿医療センター, 研究所, 研究員 (40450564)
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50282752)
田中 雅嗣 東京都健康長寿医療センター, 研究所, 研究部長 (60155166)
加藤 智史 東京都健康長寿医療センター, 研究所, 研究員 (80469965)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 脳・神経 / 神経科学 / 臨床 |
研究概要 |
難聴は種々の要因で発症するが、ミトコンドリア遺伝子変異による難聴は、比較的高頻度である。ミトコンドリア遺伝子変異の網羅的解析手法として開発した蛍光ビーズ・アレイPCR-Luminex法を用いて、原因不明の遺伝性ならびに非遺伝性感音難聴症例を対象に、ミトコンドリア遺伝子変異の有無を解析した。蛍光ビーズ・アレイPCR-Luminex法は、Suspension Array Technologyと呼ばれる、1本のマイクロチューブ内で多項目のAssayをバッファ液に懸濁した状態で、同時に施行可能な多項目同時解析手法である。本法により、373例を対象に、61種類のミトコンドリア遺伝子変異の有無を解析し、m.1555A>Gを11例、m.3243A>Gを9例、その他としてm.8348A>G、m.11778G>A、15498G>A、m.7444G>A、m.7472C>ins C変異を各々1例検出した。さらに、373例の遺伝性難聴症例を対象にして、本法を用いて、61個のミトコンドリア遺伝子点変異の有無を同定して、日本人に見られる主要な12のハプログループとの関連を検索し、ハプロタイプD4bが、有意に健常者より遺伝性感音難聴発症に関与していると同定した。 また、ミトコンドリア遺伝変異による難聴として代表的なtRNALeu(UUR)遺伝子の3243A>G変異の68歳女性のMELAS側頭骨標本を対象に、我々が開発したレーザーキャプチャー・マイクロダイセクションによるヒト内耳細胞からの個別のDNA抽出法により、変異ミトコンドリア遺伝子量を定量解析し、3243A>G変異率は、有毛細胞は2.2%、血管条は2.4%、ラセン神経節細胞は26.6%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網羅的解析法は確立し、未報告の遺伝子変異で難聴の原因と推測される変異を同定した。さらに、この研究成果を元に、難聴発症に相関するミトコンドリア遺伝子ハプロタイプを同定した。また、ミトコンドリア遺伝子変異による難聴症例の側頭骨病理を解析し、遺伝子変異の定量解析を施行した。
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今後の研究の推進方策 |
① 未解析の遺伝性感音難聴症例を対象に、ミトコンドリア遺伝子変異の有無を解析する。 ② 前年度で解析したミトコンドリア遺伝子3243変異症例の内耳細胞の定量的遺伝子変異を、既に解析し原著にて報告した2症例のMELASの遺伝子変異の相対量と比較検討する。3例ともラセン神経節細胞での遺伝子変異が最多であり、これらの遺伝子変異データと病理組織変化を対比して、MELAS症例の難聴の発症病態を解析する。
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