研究概要 |
突発性難聴における血液迷路関門の破綻を調べるには、血中に入れたガドリニウム造影剤が内耳にどれくらい漏れてくるかをMRIでみることにより可能になる。10人の突発性難聴患者(1側性9人、両側性1人)においてガドリニウム造影剤を静注し最も内耳に造影剤が集まると考えられている4時間後に3テスラMRIにて内耳を評価した。内耳信号強度比は、患耳11耳で0.45~2.17、健耳9耳で0.43~1.48であった。1側性突発性難聴9人において明らかに患側の内耳造影度が健側と比し高いのは9人中5人であった。突発性難聴では、血液迷路関門が破綻あるいは障害される例と血液迷路関門に異常が認められない両者がある。(Tagaya et al, Acta Otolaryngol, 2010) 遺伝子多型が突発性難聴発症の危険因子となるか倫理委員会の承認を得て突発性難聴72人、コントロール2202人において比較検討した。またメニエール病68人においても同様な遺伝子検索をおこなった。その結果、インターロイキン1A(-889C/T ; rs1800587)でTアレルは、突発性難聴発症リスクを高めていることが判明した。TTの場合、コントロールに比し発症リスクは25.9倍(CI 12.2-55.0)と極めて高いものであった。メニエール病でも同様な傾向が認められた。インターロイキンは、炎症・血管透過性の亢進と関連している。メニエール病でも内耳の血管透過性は亢進している例が多くインターロイキン1Aが突発性難聴やメニエール病の内耳疾患発症と関連している。(Furuta et al, Int J Immunogenet, in press)
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