研究概要 |
内耳血管透過性の元進は、静注したガドリニウム造影剤が内耳液に漏れ、MRIにて造影所見陽性となることで知ることができる。突発性難聴やメニエール病では内耳血管の透過性が元進していた(Acta Otolaryngol,2010年6月号、2011年5月号) 造影剤投与10分後と4時間後と2回MRIを撮って検討したところ4時間後が有意に造影度が強かった(Acto Otolaryngol, 2012) 名古屋大学耳鼻咽喉科に受診した突発性難聴、メニエール病の遺伝子多型検索血液サンプルは、現在までにそれぞれ87人、86人分が集まった。これらサンプルと国立長寿医療研究センターにおける2000人以上のコントロールで遺伝子多型に差がないか種々検討した。インターロイキン1Aの889T(rs 1800587)の頻度は突発性難聴、メニエール病ともに有意に高かった.(Int J Immunogenet. 2011) IL-6 C-572G,IL-4R G1902A,IL-10 A-529C,TNFα C-863A,TNFRSF1B G593A,VEGF C936T,VEGF C-2578A,VEGF G-1154Aを調べたところIL-6 572Gアレルは突発性難聴リスクを有意に上げていた。他の7つの遺伝子多型では有意差を認めなかった(J Neurogent, Epub)また、特に糖尿病の合併する突発性難聴ではComplement Factor Hの遺伝子多型が発症のリスクと関与することを見出した(GENE, in Press)。 このように突発性難聴では、内耳血管の透過性が克進している例が多いこと、血管透過性と関連のある炎症系の遺伝子多型においてコントロールと有意差があることが明らかとなった。
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