研究課題
突発性難聴の診断基準が、日本でも世界的に広く用いられている診断基準に合うように改訂された。隣り合う3周波数において30dB以上の難聴という具体的な数字が入れられることになった。これにより急性低音障害型感音難聴と突発性難聴の両者に入る症例が明確に存在することになった。急性低音障害型感音難聴は、内リンパ水腫との関連が以前より指摘されてきたが、画像検査による検討はなされてこなかった。今回、我々は、急性低音障害型感音難聴25症例においてガドリニウム造影剤を鼓室内または静脈内に投与して3テスラMRIにより内リンパ水腫を評価した。鼓室内投与の場合は、投与24時間後、静脈内投与の場合は投与4時間後にMRIを撮った。平均年齢は48.9歳、男性8人、女性17人であった。蝸牛では、著明水腫が15耳、軽度水腫が8耳、あわせて23耳(92%)に水腫を認めた。前庭においては、著明水腫が17耳、軽度水腫が6耳、あわせて23耳(92%)に水腫を認めた。このように蝸牛だけでなく前庭にも水腫を認め、メニエール病における水腫の状態と特に有意な違いは認められなかった。また、今回の検討では、再発例と非再発例との間にも、水腫の状態に差は認められなかった。メニエール病における水腫の画像検査所見から、無症状内リンパ水腫の時期をへて症状が出現してくる例が多いことがわかってきた。急性低音障害型感音難聴もベースに内リンパ水腫があり、それになんらかの要因が加わることにより症状が出現する可能性が高い。突発性難聴でも内リンパ水腫を呈する症例が報告されるようになってきているが、今後、内リンパ水腫と症状の出方について、急性低音障害型感音難聴、メニエール病、突発性難聴など対象を広くとって検討していく必要がある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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