研究概要 |
喉頭運動を制御する脳幹における神経回路網の解明 モルモットにおいて電気刺激及び化学刺激により発声が誘発される領域を系統的に解析した。その結果、中脳中心灰白質から疑核レベルまで連続する電気刺激による発声領域と、その他に孤立的に存在する化学刺激による発声領域を確認した。また、中脳中心灰白質刺激を刺激し誘発した発声運動の特異的な神経活動パターンを非動化動物において記録することにより非動化発声モデルを作成した。種差による若干の差異はあるものの、これまでの基礎研究を踏襲してモルモットを用いたさらなる発展的な研究が可能となることを示唆するものである。 喉頭腺分泌に対するアクアポリンの関与 喉頭腺分泌と声帯の湿潤化にアクアポリン(AQP)が重要な役割を担うことを明らかにした。AQP1,4,5の存在が喉頭上皮に認められた。声帯突起部ではこれらの分布が最小であった。AQP2,3,5,6,7,8は喉頭腺に存在した。これらの発現は同側の迷走神経切断によって、著明に減少し、これらの制御に副交感神経系が関与していることが示唆された。また、老化によって、AQPが減少することも明らかになった。老化による音声障害がAQPを介した喉頭腺分泌の低下による可能性を示唆するものである。 ALSに対する神経栄養因子を用いた治療法 ALSモデルマウスを用いて、延髄疑核ニューロンに支配される喉頭における筋萎縮、神経原性変化、神経筋接合部の障害について検討したが、明らかな障害を示唆する所見を得られなかった。そのため、神経栄養因子であるFGF1を投与することによる治療法の解明ができなかった。
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