平成22年度は、培養ヒト角膜内皮使用DSAEK手術、マイクロケラトームで厚い角膜フラップを作成しその下の後方角膜実質を採取し培養ヒト角膜内皮を播種する方法の1年以上にわたる術後の観察を行い、各手術法の有効性と安全性の検討を行なった。前眼部顕微鏡による移植角膜の状態の観察・撮影、超音波パキメーターによる角膜厚の測定、スペキュラーマイクロスコープを用いた角膜内皮細胞の形態の観察、などの項目を経時的に検査した。また、術後1年おきに、強角膜片を取り出し、角膜内皮面の組織学的な観察、蛍光顕微鏡によるDiI標識内皮および実質細胞の残存の程度の観察などを行った。これらの結果から、培養ヒト角膜内皮使用DSAEK手術、マイクロケラトームで厚い角膜フラップを作成しその下の後方角膜実質を採取し培養ヒト角膜内皮を播種する方法の長期の有効性、安全性が確認された。 無血清、無フィーダー細胞による角膜実質細胞および内皮細胞の培養法に関する検討を行なった。血清や動物由来のフィーダー細胞を含まない系で、ヒト角膜実質細胞は浮遊培養系で、ヒト角膜内皮細胞は接着培養系での培養を検討した。輪部上皮の無血清培地と同じ培地を用いる事で角膜実質細胞の無血清、無フィーダ細胞による培養が可能であった。角膜内皮細胞に関しては、さらに培養皿をtypel collagenでコーティングすることで無血清培地での培養が可能である事がわかった。
|