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今年度はこれまでのモデル、すなわち8週齢マウスの両側腕神経叢を露出し左medial cordを正中神経と尺骨神経の分岐より近位で切断し、その遠位断端と、右medial cordを胸筋枝分岐のすぐ遠位で切断し、その近位端を2cmの同種座骨神経移植を介して端端交叉接合したモデル(端端接合交叉モデル)に加えて右medial cordを切離せず、周膜を開窓するだけにして移植神経端を端側縫合したモデル(端側接合交叉モデル)を作成した。
端側接合交叉モデル術後8週で左前肢に振動刺激し、両側大脳体制感覚領野の反応が明確にモニタリングされた。特徴的なこととして同側大脳反応は、反対側領野に較べ反応が低く、反対側大脳領野の反応は端端吻合モデルのそれと同等の反応を示していた。シグナルの強さを正常値に補正して反応の強さを比較すると端側接合交叉モデルの反対側大脳領野の反応量は端端接合モデルのそれに較べて有意に大きな反応を示していた。
これらの結果から、端側神経交叉モデルでは同側大脳領野の反応が端端交叉モデルのそれよりより少ない影響を受けている事が判明した。
このことは、端側接合交叉臨床例の知覚回復が常に患側に限局されて感知、回復してくるメカニズムに関連している現象と考えられた。これを考察すると末梢神経端側縫合後には反対側大脳対性感覚領野シナプス単位内の神経細胞のうちでも体制感覚刺激により発火反応する細胞のグループとしないグループが生ずると考えられる。これと脳梁を介する両側大脳領野の連合現象が寄与して交叉神経接合により、これまで知られていない神経可塑性が作用すると考えられる。
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