研究課題/領域番号 |
21390480
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂井 靖夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50272315)
|
研究分担者 |
板見 智 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (30136791)
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40224919)
|
キーワード | レチノイン酸 / 皮膚発生 / 毛発生 / 創傷治癒 / CYP26B1 |
研究概要 |
ビタミンAの誘導体であるレチノイン酸(Retinoic Acid ; RA)は、細胞の分化、成長、器官形成など様々な局面で重要な役割をしている。皮膚もRAの標的組織の一つであり、尋常性乾癬や重度の膿胞性ざ瘡の治療に使用されている。研究代表者はRA不活化酵素であるcytochrome P450-26 (CYP26)に注目して、マウス胚を用いた形態形成を研究してきた。中でもCyp26b1ノックアウト(KO)マウスの皮膚には毛包形成不全、表皮・真皮細胞の形態および層構造異常など、正常に比して顕著な相違がみられた。本研究の目的は、Cyp26b1-KOマウスをモデルとして用い、皮膚発生におけるRAの標的遺伝子とその役割を探索することである。 胎生15.5日および17.5日胚に対して胎仔手術を行い、創傷治癒に関する解析を行った。両時期において、Cyp26b1-KO皮膚は正常に比して線維化が強く上皮化が遅延していた。この原因を探るべく、胎仔皮膚より線維芽細胞を培養しTGF-betaに対する関連遺伝子(SMADs、CTGF)の発現をRT-PCRで確認した。その結果、培養条件下においてはCyp26b1-KOと正常皮膚に明らかな違いは認められなかった。今後、培養液にRAを添加する、TGF-beta刺激による反応時間を変えるなどの条件設定が必要と思われた。胎生18.5日皮膚を用いたMicroarray実験では、Cyp26b1-KOにおけるKtrap13(ケラチン関連遺伝子)の特異的誘導がみられた。Ktrap13は胎生16.5日まで胚の最外層を覆っているperidermに発現している。Cyp26b1-KO皮膚ではKtrap13が胎生17.5日を越えても異所性発現が持続しており、Cyp26b1-KOに認められたバリア機能の欠如はperidermの残存によるものと推察された。
|