研究概要 |
我々の研究によって、骨細胞・骨細管系の配列における幾何学的規則性はその機能の効率性に影響を及ぼすこと、また、骨改造が骨細管系の規則性を調節していることを明らかにしている。従って、骨改造異常を示す状態では、骨細管系の機能も異常を示すと推測される。そこで、平成22年度ではOPG遺伝子欠損(OPG^/)マウスとklotho^<-/->マウスにおける骨細管系の配列およびDMP-1,sclerostin,FGF23を解析した。その結果、骨改造が激しいOPG^/マウスではDMP-1とsclerostinの発現が低下したが、その原因として、DMP-1は骨細管系の不規則性や細胞死に依存しており、sclerostinは骨芽細胞の活性化状態に影響を受ける可能性が示唆された(Masuki,Amizuka et al.,BioMed.Res,2010)。一方、高リン・高カルシウム血症を示すklotho^<-/->マウスでは、過剰なDMP-1産生とごく僅かなsclerostin・FGF23産生を示した。DMP-1は局所的基質石灰化と関連があることから、klotho^<-/->マウスにおける骨基質低石灰化の原因の1つとしてDMP-1過剰産生が推測された。さらに、FGF23産生の低下は、klotho^<-/->マウスの腎臓におけるklotho欠損だけでなく骨細胞からのFGF23産生が抑制されていることも高リン血症の原因の1つと考えられた(佐々木、網塚ら:歯科基礎医学会2010年、論文作成中)。一方、sclerostinの産生低下と骨芽細胞の抑制とは、これまでに考えられている機序では説明がつかず、現在、解析中である。
|