研究課題
これまでにマウスES細胞から神経堤を誘導することに成功した。また、成育医療センター梅澤ら(研究協力者)により新規に樹立されたヒトips細胞株9株から安定した維持培養及び分化誘導実験が可能な株としてヒトES細胞H9、ヒトiPs細胞Ticを選択し、23年度、分化誘導実験に使用した。選定したヒトips細胞株を用い、マウスES細胞で開発した神経堤分化誘導法を応用し、まず、二次元無血清培養下に分化誘導を行うための細胞分散法、播種細胞密度、細胞接着因子、培地条件などを検討した。これらの研究結果から、胚様体(EB)形成させることなく、二次元無血清培養下に外胚葉、内胚葉への分化誘導法を開発した。この系を用いて分化誘導因子を検討するため、マルチウェルプレートを用いたハイスループットスクリーニング系を開発した。さらに、種々のインヒビターなどを用いてヒトES/iPS細胞から神経堤マーカーを発現する細胞集団を得た。また、研究分担者:川端らはヒトiPS細胞への遺伝子導入により高効率に内胚葉へ誘導する方法を開発し、ヒトips細胞から内胚葉に高効率に分化誘導が可能であることを明らかにした。このように、本研究では試験管内でヒトiPS細胞から神経堤および内胚葉を高効率に誘導できる方法を確立した。しかしながら、顔面領域の位置情報を示す遺伝子発現は見られず、顎骨が誘導できたかどうかは不明である。今後、位置情報を有する神経堤の誘導を行うための条件を開発していく必要がある。頭部神経堤を誘導することが可能となれば、顎ならびに歯胚の発生メカニズムに関与する新しい知見を得られるものと期待される。
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