研究課題
味蓄の味細胞に発現するTRPM5チャネルをコードする遺伝子をHEK293細胞に発現させ、アラキドン酸に代表される不飽和脂肪酸によりTRPM5チャネル活性がどの様に修飾されるかをパッチクランプ法ホールセル法を用いて電気生理学的に検討した。膜電位は0mVに保持し、3秒毎に80mVから-80mVへの320msのNegative rampをかけることで、電流-電圧関係を記録した。電極内液のフリーCa^<2+>濃度を0.5μMに設定しているため、ホールセル法を確立後に細胞内のCa^<2+>濃度が0.5μMに近づき、徐々にチャネルが活性化され外向き整流性のあるTRPC5チャネル活性が記録できた。しかし、記録途中で直線的な電流-電圧関係になることが多く、その時、保持電位を0mvから-60mVに変化させ、2~3分待つと外向き整流性が復活した。保持膜電位により膜電位依存性が変化する面白い現象を見出したが、そのメカニズムの解明には至っていない。また、細胞外のCa^<2+>を除去すると、ホールセル法を確立後に認められるチャネル活性や10μMのアラキドン酸で惹起されるチャネル活性も著しく低下した。これは細胞膜に非選択的なリーク電流が存在し細胞内にCa^<2+>を流入させTRPM5チャネルが活性化された可能性を示唆する。従って、細胞外Ca^<2+>を除去した外液を用意した。この外液中でもアラキドン酸は外向き整流性を示す電流を惹起し、逆転電位は8mV付近であった。これは正にTRPM5チャネル活性を意味する。アラキドン酸以外にもドコサヘキサエン酸も小さいながらTRPM5チャネルの活性を上昇させることが判明した。
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