研究課題/領域番号 |
21390496
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
筑波 隆幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30264055)
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研究分担者 |
岡元 邦彰 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10311846)
西下 一久 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20237697)
坂井 詠子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10176612)
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キーワード | 歯周病 / オートファジー / リソソーム関連遺伝子 / 歯周病原性細菌 / 殺菌能 / カテプシン |
研究概要 |
歯周病は、様々な遺伝的要因と環境的要因が複雑に影響する多因子疾患である。重度の歯周病を発症する遺伝子疾患の多くは、リソソーム関連遺伝子の機能異常によって惹起している。しかし、その分子メカニズムは明らかになっていない。最近我々は、歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalis(以下P.gingivalis)を培養細胞に感染させるとオートファジーが誘導され、排除されることを見出した。以前の研究で、我々はすでに正常細胞におけるヒト動脈内皮細胞とマクロファージによる解析を行い、P.gingivalisを感染させるとオートファジーが誘導されていることが、LC3-II分子の増加によって確認している。従って、我々はこれまでリソソーム関連遺伝子の異常によって引き起こされた歯周病では、オートファジー機構の異常によって惹起される可能性があると想定していた。この事を確かめるため、本年度は、Chediak-Higashi症候群を引き起こす(CHS遺伝子変異)Lystマウスや、カテプシンEノックアウトマウスを用いて解析を行った。野生型マウスに比べ、これらの遺伝子変異マウス由来の細胞では、既に正常状態(非感染状態)でもオートファジーが遅延していることが分かった。さらに、P.gingivalisを一定時間貪食させた後、さらに1~6時間好中球やマクロファージを正常条件下で培養した後、細胞内残存している細菌を算定したところ、野生型および遺伝子変異細胞では殺菌能が有意に低下している事が分かった。以上の事から、CHS遺伝子変異マウスや、カテプシンEノックアウトマクロファージにおいてオートファジーの異常とP.gingivalisに対する殺菌能の低下が示された。
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