研究課題/領域番号 |
21390499
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 茂 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (70241338)
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研究分担者 |
山本 恒之 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80200822)
船橋 誠 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80221555)
飯塚 正 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80168062)
吉村 善隆 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30230816)
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キーワード | 唾液腺 / 萎縮 / ソフトフード |
研究概要 |
本研究はソフトフード過剩摂取により惹起される唾液腺の萎縮がどのようなメカニズムによるものかを解明しようとするものである。本年度は、昨年度までに作製された試料に対して主にアポトーシスに関する検討を行った。また、データ解析中にサンプルの多少のばらつきが認められたため、追加の動物実験および試料作製も行った。今年度に得られた実験結果は以下の通りである。液状飼料投与されたラットの耳下腺は肉眼的に萎縮していた。光学顕微鏡的には縮小した腺房細胞にアポトーシス小体様の構造が認められた。さらに、アポトーシスのマーカーである抗cleaved caspase-3抗体によって免疫染色したところ、陽性を示す腺房細胞が多く認められた。対照群(固形飼料投与群)と比較してみたところ、投与後3~14日目において抗cleaved caspase-3抗体陽性細胞が有意に多かった。しかし、21日目においては有意差は認められなかった。透過型電子顕微鏡にて観察してみると、対照群ではすべての耳下腺において腺房細胞は正常であり、アポトーシスを示すような像は認められなかった。一方、液状飼料投与群では、核膜辺縁にクロマチンが凝集したアポトーシスの初期段階を示す腺房細胞や電子密度の高い顆粒状となったアポトーシス小体がいくつも観察された。このような所見は、耳下腺の萎縮には腺房細胞の収縮や増殖活性の低下(昨年度の実験結果による)だけでなく、アポトーシスによる腺房細胞数の減少も関係しているということを示唆していると考えられた。次年度では、こうしたアポトーシスがどのような分子メカニズムによっているのかをIn Situ Hybridization法とRT-PCR法を用いて網羅的に解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究により、萎縮耳下腺の形態学的変化、細胞増殖活性の変化、アポトーシスの発生状況が解明されている。当初の研究目的において残っているテーマは、これらの分子メカニズムの解明のみとなっていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に記載したように、次年度では、萎縮耳下腺におけるアポトーシスがどのような分子メカニズムによっているのかをIn Situ Hybridization法とRT-PCR法によって明らかにする。また、次年度は本研究課題の最終年度にあたっており、実験の遂行だけでなく、学会発表や論文発表を積極的に行っていく予定である。
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