研究課題
本研究はソフトフード摂取により唾液腺がどのような反応を示すのかを解明しようとするものである。昨年度まで検討していた耳下腺は液状飼料投与により萎縮し、これは腺房細胞の収縮、増殖活性の低下、アポトーシスの亢進によって惹起されていることが明らかとなった。本年度は、耳下腺にみられるような事象が他の唾液腺でも起こるのかについて検討した。大唾液腺である顎下腺と舌下腺では、湿重量は液状飼料投与群(実験群)と固形飼料投与群(対照群)の間おいて有意差は認められなかった。また、実験群の腺房細胞の大きさに変化は認められず、分泌顆粒は組織化学的に対照群と同様の所見を示していた。電顕的にも実験群の顎下腺および舌下腺腺房細胞は正常と変わらず、ネクローシスやアポトーシス像は認められなかった。腺房細胞の増殖活性とアポトーシスの発生状況を検索するためにBrdU免疫染色と活性化Caspase-3免疫染色を実施した。その結果、顎下腺、舌下腺ともこれらの発生状況は実験群と対照群の間に有意差が認められなかった。さらに小唾液腺の1つである口蓋腺についても検討した。口蓋腺は湿重量を測定するのが困難であるため、連続切片より長径、幅径、高径を計測した。その結果、いずれの長さも実験群と対照群の間に有意差は無かった。また、組織化学的検索や細胞増殖活性およびアポトーシスの発生状況についても同様の検索を実施したが、両群に差異は認められなかった。以上の結果より、唾液腺の中にはソフトフード摂取により萎縮性変化を示すものと示さないものがあることが明らかとなった。また、本年度は耳下腺萎縮の分子メカニズム解明のため、アポトーシス関連遺伝子産物の免疫染色の後、In situ hybridizationやRT-PCRを行う予定であった。しかし、免疫染色がうまくゆかず、現在実験継続中のため残念ながら研究期間内にデータを得ることはできなかった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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北海道歯学雑誌
巻: 33 ページ: 160-167
Journal of Molecular Histology
巻: 43 ページ: 761-766
10.1007/s10735-012-9442-y