研究課題
本研究の目的は、ナノバブルと高周波超音波装置を用いて、血管腫の1mm以下の流入・流出血管を明瞭に描出できる四次元画像診断システムを確立し、血管腫の病巣部を正確に識別できる診断システムを開発するとともに、ナノバブルと超音波を用いた遺伝子導入システムを用いて異常血管の新生を抑制する新しい血管腫に対する遺伝子治療法の開発である。平成21年度においては、腫瘍モデルマウスを用いて、ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断法による腫瘍血管の画像解析における問題点を検討した。その結果、これまでの画像診断法では検出が困難な腫瘍組織内の微小腫瘍血管の分布や密度を解析できることが明らかとなったが、血管腫の診断において解決すべき様々な問題点が浮上してきた。すなわち、1.血管密度が高い病巣の微小腫瘍血管の描出には超音波造影剤が高濃度過ぎる場合、ハレーションにより微小血管の構築が困難になること、2.病巣部の近傍に太い血管や血流の豊富な臓器がある場合、ハレーションにより微小血管の構築が困難になること、3.病巣部の近傍に動脈がある場合、拍動により血管構築画像にアーチファクトが生じること、4.未成熟な腫瘍新生血管では、未だ循環系に組み込まれておらず、組織学的に血管が存在していても画像上に描出されないことなどである。また、5.静止画像では、正常組織と病変部との識別が困難であっても、四次元的に解析することにより、病変部を識別できる場合があることも明らかとなった。現在、上記問題点に対応するため、超音波画像解析装置の解析ソフト改善策を検討中である。また、本研究においては、血管新生に関わる様々な血管内皮細胞増殖因子の遺伝子をマウス筋組織に導入し、血管腫の新たな動物モデルを作製することを検討しているが、平成21年度においては、様々な血管内皮細胞増殖因子導入を可能にするプラスミドの作製を開始し、現在、遺伝子導入実験に移行しつつある段階である。
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Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod
巻: 108 ページ: 70-74