研究課題/領域番号 |
21390504
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中村 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30172406)
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研究分担者 |
角 美佐 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90284702)
佛坂 由可 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (10244089)
角 忠輝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80284701)
田代 茂樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20300882)
高木 幸則 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30295084)
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キーワード | P53 / テロメア / FEN1 / DNA切断 / 細胞周期 / 老化促進 |
研究概要 |
研究成果は、in vitroの実験にその大部分を割いたものとなった。したがって、マウス個体レベルでの評価は実施出来なかった。これは、使用したFEN-1欠損マウスでは、FEN1の抑制が不十分であったことが研究の経過中に明らかになったためである。しかしながら、in vitro実験を充実させることで、データの獲得には予想していたほどの支障は生じなかった。該当年度にて、得られた結果は以下のとおりである。 FEN1欠損により誘導される老化促進現象がp53に依存しているかどうかの検討を行った。この目的でわれわれはp53機能が失われていないBJ細胞をつかって、T24細胞の場合と同様の解析を行った。その結果、p53の機能が保たれている環境においても、FEN1を欠損させることで老化を誘導することが可能であることがわかった。siRNAを使ってFEN1を枯渇させると、p53の発現レベルが増加した。P53機能をもともと欠損しているT24における場合と同様に、BJ細胞においても、FEN1はテロメアDNA上にも局在していた。FEN1を欠損させたBJ細胞においてもβ-galactosidaseの発現が時間の経過と共に増加し、老化が促進されていることが確認できた。この細胞の場合もテロメアの長さの短縮は認められなかった。更に重要なことは、FEN1の発現を枯渇させることでBJ細胞において誘導された老化は、p53依存性であることがわかった点である。これは、FEN1の発現を抑制したBJ細胞のp53蛋白発現をp53siRNAを使って同時に抑えてやると、FENI siRNAにより誘導された老化促進をほとんどベースラインレベルにまで抑制できたことにより示唆された。しかしながら、BJ細胞での老化促進はテロメアDNAの2重差切断を伴っていないなど、p53依存性で起こるFEN1欠損による老化促進とp53非依存性で起こるそれとの間には機構上明らかな違いがあると考えられた。
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