研究課題/領域番号 |
21390504
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中村 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30172406)
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研究分担者 |
角 美佐 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90284702)
佛坂 由可 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (10244089)
角 忠輝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80284701)
田代 茂樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20300882)
高木 幸則 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30295084)
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キーワード | P53 / テロメア / FEN1 / DAN切断 / 細胞周期 / 老化促進 |
研究概要 |
1.FEN1 siRNAにより48時間以内にT24細胞のFEN1を枯渇させることができた。このFEN1欠損細胞は48時間後には老化が起こっていることを示唆する形態を呈していた。。これを確かめるため、SA-β-galactoshidaseの発現レベルを解析したところ、FEN1が枯渇して72時間後までにほぼ100%の細胞でSA-β-galactosidaseが発現していた。更に細胞周期を調べると、FEN1を欠損させたT24細胞では、p21の発現が増加し、p38のリン酸化が抑制されていた。一方、p16の発現レベルには影響は認められなかった。さらに、老化促進の際、テロメアの長さに変化は起こっていないことを確認した。したがって、これらの結果は、FEN1をknockdownさせると、T24細胞では老化が促進されることが確かめられた。 2.つぎに、FEN1がテロメアにおいてどのような働きをしているかを確かめた。テロメアに特有のタンパク質であるTRF1に対する抗体をつかってテロメアDNAを分離した後、FEN1抗体を用いてDot Blot解析を行い、テロメア構造にFEN1が含まれていること、さらには共焦点顕微鏡をつかって、FEN1蛋白がTRF1と存在していることを確認した。さらに、FEN1を枯渇させた際にテロメアDNAではH2AXのリン酸化が起こっていることがわかった。これらの結果、テロメアからFEN1が働かなくなることで、テロメアではDNA二重鎖の切断が起こっていることが示唆された。 3.最後に、FEN1欠損によって誘導される老化促進現象におけるp53の関与について検討した。この目的でわれわれはp53機能が失われていないBJ細胞をつかって、T24細胞の場合と同様の解析を行った。その結果、p53の機能が保たれている環境においても、FEN1を欠損させることで老化を誘導することが可能であることがわかった。さらに、FEN1の発現を枯渇させることでBJ細胞において誘導された老化は、p53依存性であることを見出した。しかしながら、BJ細胞での老化促進はテロメアDNAの2重差切断を伴っていないなど、p53依存性で起こるFEN1欠損による老化促進とp53非依存性で起こるそれとの間には機構上明らかな違いがあると考えられた。
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