研究課題
本年度は、癌幹細胞画分とされるside population細胞(SP細胞)を中心に、生物学的形質、遺伝子発現、腫瘍形成能および骨転移能について検討を行った。1. 癌幹細胞の自己複製能:主としてヒト乳癌細胞株MDA-MB-231細胞から単離したSP細胞を用いて、癌幹細胞の自己複製能について検討を行った。SP細胞を2週間培養の後、再度SPの解析を行った。その結果、SP細胞とNSP細胞の両方が存在していることが明らかとなり、SP細胞の自己複製能および分化能が示唆された。2. 癌幹細胞の遺伝子発現解析:MDA-MB-231 SP細胞の遺伝子発現について、マイクロアレイ法にてnon-SP(NSP)細胞との比較解析を行った。その結果、SP細胞では、ATP-binding cassette, sub-family G, member 2 (ABCG2)の発現上昇が認められた。これを支持する結果として、MDA-MB-231細胞をABCG2の阻害剤であるfumitremorgin Cで処理した場合、SP細胞の著明な減少が認められた。3. 癌幹細胞の腫瘍形成能と骨転移能:MDA-MB-231 SP細胞の腫瘍形成能をヌードマウス乳腺内移植モデルを用い検討した結果、NSP細胞と有意な差は認められなかった。しかし、腫瘍増殖はSP細胞で亢進していた。次に、同細胞の骨転移能をヌードマウス左心室内移植モデルを用い検討した結果、こちらもNSP細胞と比較して有意な差は認められなかった。また、骨転移巣におけるSP細胞の割合を検討したところ、培養細胞および乳腺内腫瘍との間に差を認めなかった。以上の結果から、SP細胞は一部の癌幹細胞様形質を示すものの、骨転移形成能に関してはNSP細胞と差がないことが示された。今後は、他の細胞、および他の癌幹細胞マーカーを用いた更なる詳細な検討が必要と思われる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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