研究課題/領域番号 |
21390507
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 陽一 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20345903)
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研究分担者 |
上田 実 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00151803)
日比 英晴 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90345885)
山本 朗仁 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50244083)
國貞 隆弘 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (30205108)
春日 敏宏 名古屋工業大学, 工学系研究科, 教授 (30233729)
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キーワード | 再生医療 / 幹細胞 / 歯髄 / 乳歯 / 歯内療法 / 骨再生 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、低侵襲に採取可能な歯髄幹細胞を用いた新規細胞治療法の開発を目指し、以下の研究を行った。ヒト乳歯由来歯髄幹細胞(SHED)の細胞特性を明らかにするため、DNAマイクロアレイ法を用いて、SHEDと骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSCs)の遺伝子発現プロファイルを比較検討した。パスウェイ解析の結果、BMP receptor signalingに関わるパスウェイがSHEDで有意に変動していた。また、BMP刺激によりSHEDにおいてのみBMP4の顕著な上昇を認め、BMMSCsと比較してSHEDにおいてRunx2、DSPP等の硬組織形成関連遺伝子発現が有意に高いことが示された。このことより、BMP4がSHEDの硬組織形成における遺伝子制御メカニズムに重要な役割を果たしている可能性が示唆された。また、イヌ骨欠損モデルを用いた骨再生に関する研究では、乳歯、永久歯歯髄細胞移植群においてBMMSCs移植群と同様に良好な骨組織再生が確認された。移植部位へのインプラント埋入を行ったところ、再生骨とインプラントとの骨結合率が良好であったことから、骨欠損部への歯髄幹細胞移植が咬合機能回復に有用である可能性が示された。ラットを用いた神経再生研究では、SHEDが脊椎完全切断によるアポトーシスを抑制し軸索伸長を促進することで運動機能回復を促すことが明らかとなった。さらに臨床応用の実用化に向けて、新規バンキングシステムの開発に関する研究を行った。SHEDをCaCO_3とglucono-δ-lactoneを用いてゲル化したアルギン酸ゲルに含有させ、凍結保護剤を用いて凍結した。ethylene glycol、sucrose、polyvinyl pyrrolidoneを用いた条件下での細胞生存率は既存の凍結保護剤より高く、凍結前後において細胞特性は良好に保持されていた。以上の結果より、乳歯および永久歯の歯髄は、骨髄に代わり次世代を担う有用な幹細胞源であり、新規バンキングシステムを用いてより効率的かつ汎用性の高い細胞治療法が実現される可能性が示唆された。
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