デンタルバイオフィルムにおけるクオラムセンシング誘導物質のin situ解析

2011 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21390508
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 保存治療系歯学
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 野杁 由一郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (50218286)
• 研究分担者: 恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 理事・副学長 (50116000) ; 薮根 敏晃 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90423144) ; 朝日 陽子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50456943)
• 連携研究者: 阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 准教授 (40263850)
• 研究期間 (年度): 2009 – 2011
• キーワード: デンタルバイオフィルム / クオラムセンシング / オートインデューサー / アシルホモセリンラクトン / 感染根管 / マクロライド / アジスロマイシン / Porphyromonas gingivalis

研究概要

本研究課題は,ヒトのデンタルバイオフィルムに対する化学的制御・抑制法の確立を最終的な目標して行われた。クオラムセンシング(QS)誘導物質であるオートインデューサーの1種であるアシルホモセリンラクトン(AHL)の類似化合物をターゲットにしたが, 10種のAHL類似化合物は検出限界(6. 32～7. 33ng/ ml)以上の濃度では検出されず,デンタルバイオフィルム中にはほとんど存在しないことが明らかとなった。一方, QSを撹乱し抗バイオフィルム作用を示していると推察されるAHL類似化合物や抗菌剤を発見し,これらによる化学的なバイオフィルム抑制法の臨床適用に向けた緒を築いた。
この研究成果は,バイオフィルム感染症の新たな治療戦略の開発に有意義な示唆を与えるものであると自負している。

研究成果

• [雑誌論文] Synergistic effects of antibiotics and an N-acyl homoserine lactone analogue on Porphyromonas gingivalis biofilm (2012)
  • 著者名/発表者名: Asahi Y, Noiri Y, Igarashi J, Suga H, Azakami H, Ebisu S
  • 雑誌名: J Appl Microbiol 巻: 112 ページ: 404-411
  • DOI: DOI:10.1111/j.1365-2672.2011.05194.x
  • 査読あり
• [雑誌論文] 各種抗菌薬がPorphyromonas gingivalisの形成するバイオフィルムに及ぼす影響 (2012)
  • 著者名/発表者名: 前薗葉月, 野杁由一郎, 朝日陽子, 山口幹代, 山本れいこ, 薮根敏晃, 上田未央, 恵比須繁之
  • 雑誌名: Bacterial Adherence & Biofilm 巻: 24 ページ: 35-42
• [雑誌論文] Anti-biofilm effects of azithromycin and erythromycin on Porphyromonas gingivalis (2011)
  • 著者名/発表者名: Maezono H, Noiri Y, Asahi Y, Yamaguchi M, Yamamoto R, Izutani N, Azakami H, Ebisu S
  • 雑誌名: Antimicrob Agents Chemother 巻: 55 ページ: 5887-5892
  • DOI: DOI:10.1128/AAC.05169-11
  • 査読あり
• [雑誌論文] Time-course gene expression during Porphyromonas gingivalis strain ATCC 33277 biofilm formation (2011)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto R, Noiri Y, Yamaguchi M, Asahi Y, Maezono H, Ebisu S
  • 雑誌名: Appl Environ Microbiol 巻: 77 ページ: 6733-6736
  • DOI: DOI:10.1128/AEM.00746-11
  • 査読あり
• [雑誌論文] Genomic recombination through plasmid-encoded recombinase enhances hemolytic activity and adherence to epithelial cells in the periodontopathogenic bacterium Eikenella corrodens. (2011)
  • 著者名/発表者名: Matsunaga M, Nakayuki A, Saito Y, Kato A, Noiri Y, Ebisu S, Azakami H
  • 雑誌名: Biosci Biotechnol Biochem 巻: 75 ページ: 748-751
  • URL: http://dx.doi.org/10.1271/bbb.100866
  • 査読あり
• [雑誌論文] 根管治療を再考する-その成功と失敗の鍵- (2011)
  • 著者名/発表者名: 野杁由一郎, 山口幹代, 林美加子, 恵比須繁之
  • 雑誌名: 日歯歯内誌 巻: 50 ページ: 87-96
  • 査読あり
• [雑誌論文] Porphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成における遺伝子の経時的変化 (2011)
  • 著者名/発表者名: 山本れいこ, 野杁由一郎, 山口幹代, 朝日陽子, 前薗葉月, 恵比須繁之
  • 雑誌名: Bacterial Adherence & Biofilm 巻: 25 ページ: 51-56
• [雑誌論文] Effects of N-acrl homoserin lacton analogs on Porphyro-monas gingivalis biofilm formation. (2010)
  • 著者名/発表者名: Asahi Y, Noiri Y, Igarashi J, Asai H, Suga H, Ebisu S
  • 雑誌名: J Periodont Res 巻: 45 ページ: 255-261
  • DOI: DOI:10.1111/j.1600-0765.2009.01228.x
  • 査読あり
• [雑誌論文] Antibacterial effects of MDPB against anaerobes associated with endodontic infections (2010)
  • 著者名/発表者名: Izutani N, Imazato S, Noiri Y, Ebisu S
  • 雑誌名: Int Endod J 巻: 43 ページ: 637-645
  • DOI: DOI:10.1111/j.1365-2591.2010.01716.x
  • 査読あり
• [雑誌論文] Exopolysaccharide accumulation and antimicrobial effect in Porphyromonas gingivalis biofilm (2010)
  • 著者名/発表者名: Yamaguchi Y, Sato K, Yukitake H, Noiri Y, Ebisu S, Nakayama K
  • 雑誌名: Infect Immun 巻: 78 ページ: 3801-3812
  • DOI: DOI:10.1128/IAI.00071-10
  • 査読あり
• [雑誌論文] The inhibitory effects of catechins on biofilm formation by the periodontopathogenic bacterium (2010)
  • 著者名/発表者名: Matsunaga T, Nakahara A, Minnatul KM, Noiri Y, Ebisu S, Kato A, Azakami H
  • 雑誌名: Eikenella corrodens. Biosci Biotechnol Biochem 巻: 74 ページ: 2445-2450
  • URL: http://dx.doi.org/10.1271/bbb.100499
  • 査読あり
• [雑誌論文] クオラムセンシング関連物質がPorphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成に及ぼす影響の検索 (2009)
  • 著者名/発表者名: 朝日陽子, 野杁由一郎, 恵比須繁之, 五十嵐潤, 朝井洋明, 菅裕明
  • 雑誌名: Bacterial Adherence & Biofilm 巻: 23 ページ: 109-114
• [雑誌論文] 歯周病関連細菌Eikenella corrodensのオートインデューサーがバイオフィルム形成に関与する (2009)
  • 著者名/発表者名: 久本達格, 赤壁善彦, 松永哲郎, 加藤昭夫, 野杁由一郎, 恵比須繁之, 阿座上弘行
  • 雑誌名: Bacterial Adherence & Biofilm 巻: 22 ページ: 103-108
• [雑誌論文] 歯周病関連細菌Eikenella corrodensはゲノム再編により上皮細胞への付着を高める (2009)
  • 著者名/発表者名: 仲行あゆみ, 斎藤悠希, 松永哲郎, 加藤昭夫, 野杁由一郎, 恵比須繁之, 阿座上弘行
  • 雑誌名: Bacterial Adherence & Biofilm 巻: 22 ページ: 81-86
• [学会発表] Porphyromonas gingivalisのPGN_0088遺伝子のバイオフィルム形成における役割 (2012)
  • 著者名/発表者名: 山本れいこ, 野杁由一郎, 山口幹代, 朝日陽子, 前薗葉月, 呉本勝隆, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第85回日本細菌学会総会
  • 発表場所: ブリックホール(長崎)
  • 年月日: 2012-03-29
• [学会発表] 歯周病関連細菌Eikenella corrodensはゲノム再編により高病原化する (2012)
  • 著者名/発表者名: 阿座上弘行, 山田和範, 野杁由一郎, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第85回日本細菌学会総会
  • 発表場所: ブリックホール(長崎)
  • 年月日: 2012-03-28
• [学会発表] Sub-MICカテキンがPorphyromonas gingivalisバイオフィルムに及ぼす影響の検索 (2011)
  • 著者名/発表者名: 朝日陽子, 野杁由一郎, 前薗葉月, 山本れいこ, 山口幹代, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第135回日本歯科保存学会
  • 発表場所: 大阪国際交流センター(大阪)
  • 年月日: 2011-10-20
• [学会発表] Remnant matrix of Porphyromonas gingivalis biofilm treated with chlorhexidine (2011)
  • 著者名/発表者名: Yamaguchi M, Noiri Y, Kuboniwa M, Maezono H, Yamamoto R, Asahi Y, kuremoto K, Ebisu S
  • 学会等名: International Union of Microbial Societies 2011 Congress
  • 発表場所: Sapporo, Japan
  • 年月日: 2011-09-08
• [学会発表] 健康、機能を回復する歯内療法感染根管を科学する-その実態と根管治療の役割- (2011)
  • 著者名/発表者名: 野杁由一郎
  • 学会等名: 第31回日本歯内療法学会学術大会(シンポジウム)
  • 発表場所: 東京商工会議所(東京)
  • 年月日: 2011-07-25
• [学会発表] Porphyromonas gingivalisのバイオフィルムに対するクロルヘキシジンの影響 (2011)
  • 著者名/発表者名: 山口幹代, 野杁由一郎, 久保庭雅恵, 山本れいこ, 前薗葉月, 朝日陽子, 呉本勝隆, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第25回Bacterial Adherence & Biofilm
  • 発表場所: 東京慈恵会医科大学(東京)
  • 年月日: 2011-07-08
• [学会発表] Porphyromonas gingivalisバイオフィルム形成の経時的解析 (2011)
  • 著者名/発表者名: 山本れいこ, 野杁由一郎, 山口幹代, 朝日陽子, 前薗葉月, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第25回Bacterial Adherence & Biofilm
  • 発表場所: 東京慈恵会医科大学(東京)
  • 年月日: 2011-07-08
• [学会発表] Porphyromonas gingivalisバイオフィルムに対する各種抗菌剤の抗バイオフィルム効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 前薗葉月, 野杁由一郎, 朝日陽子, 山口幹代, 山本れいこ, 薮根敏晃, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第134回日本歯科保存学会
  • 発表場所: 東京ベイ舞浜ホテルクラブリゾート(千葉)
  • 年月日: 2011-06-10
• [学会発表] Combination chemotherapy using autoinducer-analog and antibiotics for Fusobacterium nucleatum biofilm (2011)
  • 著者名/発表者名: Asahi Y, Noiri Y, Igarashi J, Maezono H, Ebisu S
  • 学会等名: The 89th International Association for Dental Research
  • 発表場所: San Diego, USA.
  • 年月日: 2011-03-19
• [学会発表] The anti-biofilm effects of macrolide antibiotics on Porphyromonas gingivalis. (2011)
  • 著者名/発表者名: Maezono H, Noiri Y, Ebisu S
  • 学会等名: The 89th International Association for Dental Research
  • 発表場所: San Diego, USA
  • 年月日: 2011-03-18
• [学会発表] Combination chemotherapy using autoinducer-analog and antibiotics for Porphyromonas gingivalis biofilm (2010)
  • 著者名/発表者名: Asahi Y, Noiri Y, Igarashi J, Maezono H, Ebisu S
  • 学会等名: The 58th Japanese Association for Dental Research
  • 発表場所: 九州歯科大学,北九州
  • 年月日: 2010-11-20
• [学会発表] Porphyromonas gingivalisバイオフィルムの菌体外マトリックスに対する陽イオン性抗菌剤の影響 (2010)
  • 著者名/発表者名: 山口幹代, 野杁由一郎, 久保庭雅恵, 前薗葉月, 山本れいこ, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第133回日本歯科保存学会
  • 発表場所: 長良川国際会議場(岐阜)
  • 年月日: 2010-10-28
• [学会発表] アジスロマイシンを用いた歯周抗菌療法の多施設研究 (2010)
  • 著者名/発表者名: 新田浩, 野杁由一郎, 恵比須繁之, 他7名
  • 学会等名: 第53回日本歯周病学会
  • 発表場所: 高松コンベンション・ビューロー(香川)
  • 年月日: 2010-09-19
• [学会発表] Exopolysaccharide accumulation and antimicrobial effect in Porphyromonas gingivalis biofilm (2010)
  • 著者名/発表者名: Yamaguchi M, Noiri Y, Kuboniwa M, Maezono H, Yamamoto R, Asahi Y, Ebisu S
  • 学会等名: The 88th International Association for Dental Research
  • 発表場所: Barcelona, Spain
  • 年月日: 2010-07-15
• [学会発表] フローセル系と静置系の2つのバイオフィルムモデルにおけるPorphyromonas gingivalisの遺伝子発現の経時的変化 (2010)
  • 著者名/発表者名: 山本れいこ, 野杁由一郎, 山口幹代, 朝日陽子, 前薗葉月, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第132回日本歯科保存学会
  • 発表場所: 崇城大学市民ホール(熊本)
  • 年月日: 2010-06-04
• [学会発表] Porphyromonas gingivalisバイオフィルムにおける菌体外マトリックス産生と抗菌剤の影響 (2010)
  • 著者名/発表者名: 山口幹代, 野杁由一郎, 久保庭雅恵, 前薗葉月, 山本れいこ, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第132回日本歯科保存学会
  • 発表場所: 崇城大学市民ホール(熊本)
  • 年月日: 2010-06-04
• [学会発表] Effects of Antibiotics on various Porphyromonas gingivalis biofilms (2009)
  • 著者名/発表者名: Maezono H, Noiri Y, Asahi Y, Ebisu S
  • 学会等名: Kyungpook-Osaka University International Symposium in Dentistry
  • 発表場所: Kyungpook, Korea
  • 年月日: 2009-12-11
• [学会発表] 歯周病細菌感染に起因したと考えられる化膿性肺膿瘍の1剖検例 (2009)
  • 著者名/発表者名: 大山秀樹, 野杁由一郎, 恵比須繁之, 他8名
  • 学会等名: 第130回日本歯科保存学会
  • 発表場所: 札幌コンベンションセンター(北海道)
  • 年月日: 2009-06-12
• [学会発表] Porphyromonas gingivalisバイオフィルムのグリコシルトランスフェラーゼのモチーフをもつ遺伝子PGN1251はバイオフィルム形成に関与する (2009)
  • 著者名/発表者名: 山口幹代, 野杁由一郎, 山本れいこ, 恵比須繁之
  • 学会等名: 第130回日本歯科保存学会
  • 発表場所: 札幌コンベンションセンター(北海道)
  • 年月日: 2009-06-11
• [学会発表] 歯周病を予防して健やかな生活を-厄介なデンタルプラークとそのコントロール法- (2009)
  • 著者名/発表者名: 野杁由一郎
  • 学会等名: 大和証券ヘルス財団平成21年度健康の保持増進に関するセミナー(招待講演)
  • 発表場所: 大和証券神戸支店,(兵庫)
  • 年月日: 2009-04-09
• [図書] 2章機能を回復する歯内療法4.感染根管を科学するその実態と根管治療の役割; ENDOで臨床を大きく変えよう!歯科治療の根幹ENDOで天然歯を守る(日本歯内療法学会編).初版 (2011)
  • 著者名/発表者名: 野杁由一郎
  • 総ページ数: 64-70
  • 出版者: クインテッセンス出版,東京
• [図書] 第4章歯髄・根尖性歯周組織疾患と細菌学;エンドドンティックス (2010)
  • 著者名/発表者名: 野杁由一郎
  • 総ページ数: 44-50
  • 出版者: 永末書店,東京
• [図書] 2.感染根管のupdate ;口腔感染症のupdate.歯科医療(秋号) (2010)
  • 著者名/発表者名: 野杁由一郎
  • 総ページ数: 10-16
  • 出版者: 第一歯科出版,東京
• [図書] Chapter1エンド難症例の現状と実態, Chapter2エンド難症例の原因分析と対応根尖部にみられる吸収像と根尖孔外バイオフィルム;エンド難症例メカニズムと臨床対応(歯界展望別冊:恵比須繁之編).初版 (2009)
  • 著者名/発表者名: 野杁由一郎
  • 総ページ数: 8-19, 46-51
  • 出版者: 医歯薬出版,東京