研究課題/領域番号 |
21390510
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤峰 昭文 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00117053)
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研究分担者 |
前田 英史 九州大学, 大学病院, 講師 (10284514)
和田 尚久 九州大学, 大学病院, 講師 (60380466)
友清 淳 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (20507777)
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キーワード | 未分化なヒト歯根膜細胞 / ヒト歯根膜細胞 / ハイドロキシアパタイト / 象牙質タンパク / 象牙質タンパク |
研究概要 |
(1)歯根膜再生に有効な形態形成因子の同定 当研究室にて樹立した2種のヒト歯根膜幹細胞株(1-11細胞株および1-17細胞株)を用いて、現在歯周病治療薬として臨床試験の第3相に至っているbFGFならびに、前年度の結果より、TGF-beta1によって細胞株の線維芽細胞様分化が促進したことから、bFGF刺激後にTGF-beta1を用いた連続刺激を行った。その結果、I型コラーゲンならびにフィブリリン1、alpha-smooth muscle actinの発現が亢進したことから、線維芽細胞分化が促進することが示唆された。また1-17細胞株は、神経栄養因子の1つであるNGFを分泌し、さらにPC12細胞の神経細胞分化を促す働きがあることを明らかにした。そして機械的刺激によって歯根膜細胞におけるIL-11発現が促進し、さらにこのIL-11は1-11細胞株の骨系分化を誘導した。 (2)多分化能を有した歯根膜細胞の表面抗原の同定 1-11細胞株ならびに1-17細胞株において、間葉系幹細胞が発現することが報告されている、CD13、CD29、CD44、CD71、CD90、CD105そしてCD166の発現について検討した結果、そのいずれもが、90%を越える陽性反応を示した。これに加えて、未分化な細胞マーカーの一つであるSTRO-1ならびに血管内皮細胞のマーカーの1つであるCD146について、前者の陽性細胞数は、いずれの細胞株において50%以下であったのに対し、後者では、1-11細胞株のほとんどが陽性であったのに対し、1-17細胞株では、極めて弱い反応を示した。したがって、いずれの細胞株も現状で未分化な状態を維持していると考えられ、これ以上に細胞を表面抗原で選択することは、困難と思われたことから、選別を行わないまま実験に用いることにした。 (3)歯周組織欠損動物への応用 免疫不全ラット上顎第1臼歯の歯槽骨から歯根膜組織にかけて、欠損部位を作製し、そこへ各々の細胞株をbeta-TCPを足場材にして填塞した。その結果、1-11細胞株は、セメント質上、骨面上、そして歯根膜線維中に局存することが明らかになった。
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