研究概要 |
義歯床用PMMAレジンにアミン系触媒を含有する10% Perhydropolysilazane (PHPS、NP-110)を流し塗り法により塗布、乾燥後、3%過酸化水素水に37℃で1時間浸漬した。これらの薄膜試料の微小押込み硬さは平均4,500MPaであり、PMMA研磨面の900MPaと比較し有意に硬かった。しかしながら,300℃で1時間焼成したシリカ薄膜の微小押込み硬さは9,000MPaと極めて高く,成膜方法を改善することにより,より硬い薄膜を得ることが可能であることも示唆された。シリカ膜密着性試験を碁盤目テープ試験(JIS K5400)にて行ったところ、シリカ転化直後では,切れ込みの交点および正方形の一目に剥離は認められなかった。さらに、4~60℃、5,000サイクルのサーマルストレス試験後も切れ込みの縁の部分ではごくわずかにチッピングのようにして剥離したのみであったことから、本シリカコーティング法は母材を問わないきわめて汎用性の高いコーティング法であることが示唆された。21年度から継続しているエナメル質に対するコーティングに関しては、母材であるエナメル質よりはるかに耐摩耗性に富んだサブミクロンの薄膜を成膜することができた。 抗菌・抗真菌性シランカップリング剤の合成は東京理科大学にて成功し、"Synthesis and Anti-microbial Activity of Quaternary Ammonium Silane Coupling Agents"としてJournal of Oleo Scienceに採択され、印刷中である。 以上の研究成果は日本歯科保存学会2010年度秋季学術大会、神奈川歯科大学学会総会、および88^<th> IADR General Session報告した。
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