研究課題/領域番号 |
21390513
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊池 雅彦 東北大学, 病院, 教授 (60195211)
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研究分担者 |
下西 充 東北大学, 病院, 助教 (40302153)
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キーワード | 歯の喪失 / 歯周病 / 脳MRI / 認知症 / Fazekasスコア |
研究概要 |
本研究では、65歳以上の高齢者を対象に、数年おきに脳MRI検査を実施し、口腔内因子と脳MRIのデータベースを構築することにより、口腔内状況と脳の病態との関連を検討することを目的としている。 今回から、脳MRI読影担当者が交代となり、DWMH(深部白質高信号域)およびPVH(脳室周囲高信号域)については、従前、前部と後部に分けてスコア化(Fazekasスコア;高いほど悪い状態)していたものを、それぞれ一体化してスコア化することとなった。したがって、従前のデータについては前部と後部で高い方のスコアを採用することとした。新たなデータを追加して、歯数や歯周病の因子、義歯の使用状況等と、DWMHおよびPVHとの関連について年齢調整による偏相関分析を行ったところ、上顎歯数とDWMHおよびPVHとの間に有意な負の相関が認められ、特に上顎前歯とPVHとの相関が強かった。しかし、下顎歯数とDWMH、VHとの間には有意な相関はみられなかった。また、臼歯部咬合支持域数とPVHとの間、プロービング時出血のある歯数とDWMHとの間にも有意な負の相関が認められた。ただし、出血のある歯数とDWMHとの間の相関は負の相関であり、歯周病の状態が悪いほどFazekasスコアが良好となることから、全体の歯数との交絡が考えられた。 一方、脳MRI撮影の再撮影を行った被験者に関しては、1回目の撮影から4年後に再撮影を行った被験者では、上顎前歯が1本喪失し、DWMHのスコアが1上昇していた。3年後に再撮影を行った被験者では、上顎臼歯と下顎臼歯がそれぞれ1本ずつ喪失していたが、ポケット4mm以上の歯数と出血歯数が大幅に減少しており、DWMHおよびPVHのスコアに変化はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年3月の東日本大震災の影響で、本研究を遂行するための施設や被験者の確保について懸念されたが、施設の復旧と患者の復帰が予想より早く進み、本研究もおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の最終年度であるので、できるだけ多くの被験者の脳MRI再撮影を行うとともに、新たな被験者も追加していく方針である。脳MRI再撮影のためには、被験者が歯科疾患の治療目的で再来院してもらうことが本来望ましいが、必ずしも期待できないので、新たな被験者の確保にも努めることとする。また、歯周病とFazekasスコアとの関連が認められないことから、歯周病の病態をより定量的に評価する分子生物学的方法の開発も視野に入れて研究を推進する。
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