研究概要 |
本年は昨年度に行った結果をもとに,臨床モデルであるイヌ顎骨におけるbFGF・ポリリン酸重層結合型インテリジェント機能性人工骨(以下,新規人工骨)の有用性を評価した.顎骨の骨欠損は前年度に行ったラビット大腿骨骨欠損と異なり,欠損形態が規格化できないためブロック形態は適応不可であり顆粒状の形態を用いることとなった.よって(1)新規人工骨の形状の検討(2)新規人工骨の有用性の検討,以上の2ステップで遂行した. (1)予備実験として顆粒の形状を(1)球形処理(2)粉砕型のどちらかが有効であるかの検討を行った.イヌ3頭の顎骨に無歯顎堤の準備を行った後,円柱状の骨窩を形成し,各条件の人工骨を左右それぞれに填入し,4, 8, 12週の観察期間を設定した.その後,組織標本を製作し観察を行ったところ,粉砕型のものが球形型と比べ,密に充填されることによる良好な骨形成を示した.よって,顎骨に用いる新規人工骨の担体には粉砕型を用いることとした. (2)次に,HBDイヌ4頭の小臼歯部の抜歯を行い無歯顎堤を準備した.3ヶ月間の治癒期間の後,左右顎堤粘膜を剥離し顎骨を露出させた.その顎骨にインプラント埋入窩を左右に2カ所ずつ形成し,頬側に高さ4mm,幅4mmの3壁性骨欠損を形成した.この埋入窩にインプラントを4スレッド分露出するように設置し,(1)多孔性HAのみ(2)ポリリン酸結合人工骨(3)FGF結合人工骨(4)bFGF+ポリリン酸結合人工骨,以上の4条件の人工骨を填入した.欠損部は非吸収性メンブレンで被覆し粘膜の縫合を行った.12週後に組織ブロックを採取し非脱灰研磨標本の製作を行った.来年度はこれら得られた結果から新規人工骨の有用性および追実験等の必要性を検討する予定である.
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