研究概要 |
本年は昨年度から引き続き,臨床実験モデルであるイヌ顎骨におけるbFGF・ポリリン酸重層結合型インテリジェント機能性人工骨(以下,新規人工骨)の有用性を,追加実験を行い評価した.HBDイヌ4頭の小臼歯部の抜歯を行い無歯顎堤を準備した.3ヶ月間の治癒期間の後,左右顎堤粘膜を剥離し顎骨を露出させた.その顎骨にインプラント埋入窩を左右に2カ所ずつ形成し,頬側に高さ4mm,幅4mmの3壁性骨欠損を形成した.この埋入窩にインプラントを4スレッド分露出するように設置し,(1)多孔性HAのみ(2)ポリリン酸結合人工骨(3)FGF結合人工骨(4)bFGF+ポリリン酸結合人工骨,以上の4条件の人工骨を填入した.欠損部は非吸収性メンブレンで被覆し粘膜の縫合を行った.12週後に組織ブロックを採取し非脱灰研磨標本の製作を行い,骨再生の状態を組織学的ならびに組織形態計測学的(新生骨面積率)に検討した.昨年度の予備実験の結果を統合し,bFGFをポリリン酸吸着人工骨に結合させたインテリジェント機能性人工骨は,インプラント周囲骨欠損部において,最も骨再生を促進させる結果が得られた.これらは,平成21年度に行った細胞実験等の結果を考察し,bFGFがポリリン酸と相互的に作用し,細胞増殖作用,血管新生作用(bFGFの作用をポリリン酸が安定化したため)および骨再生促進作用(ポリリン酸の石灰化促進作用)が効果的に生体内で起きたことと示唆できる.
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