研究課題/領域番号 |
21390521
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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研究分担者 |
平井 敏博 北海道医療大学, 個体差医療科学センター, 教授 (80014273)
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10301011)
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20399900)
川西 克弥 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10438377)
河野 舞 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (90586926)
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キーワード | 脳梗塞 / モデルラット / 学習記憶機能 / Y-maze試験 / Brdu |
研究概要 |
本研究は、咀嚼機能が脳梗塞の後遺障害の改善に有効か否かを検討することを目的とした歯科界初の実験系である。本年度までの研究において、安定した脳梗塞モデルラット(MCAO)の作製が可能となり、咀嚼機能の有効性を検討するための準備が整った。そして、液体飼料で飼育する群(MCAO液体群)と固形で飼料飼育する群(MCAO固形群)に分けることで、体重変化、感覚運動機能障害からの回復程度(Limb Placement Test)および学習記憶能について比較検討を実施した。その結果、体重変化および感覚運動機能障害の回復はMCAO両群に有意差は認められなかった。一方、長期記憶の評価として受動的回避学習試験ではMCAO両群間に有意差は認められなかったものの、短期記憶能の評価であるY-maze試験においては、進入したアームを記憶し、探索行動の効率性の指標となる自発的交替行動率がMCAO液体群に比してMCAO固形群で有意に高かった。この結果を受け、学習記憶能に関連の高い海馬に着目し、海馬歯状回における細胞増殖活性を評価するため5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)標識細胞の検索による免疫組織学的検討を実施した。その結果、脳組織を健常側と梗塞側の2つに分割し、健常側におけるBrdU標識細胞率をMCAO両群間で比較したところ、MCAO液体群に比してMCAO固形群で有意に高い値が認められた。また、各群における健常側と梗塞側との間で比較したところ、MCAO固形群においては梗塞側に比較して健常側で有意に高い値が認められた。これらのことから、固形飼料飼育による咀嚼機能の促進は、脳機能に与える脳梗塞後遺障害のうち、短期記憶障害の回復に有効であることが示唆された。
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