研究課題/領域番号 |
21390523
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高田 雄京 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (10206766)
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研究分担者 |
金高 弘恭 東北大学, 大学院・医工学研究科, 准教授 (50292222)
清水 良央 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30302152)
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キーワード | 生体材料 / インプラント / チタン合金 / 骨誘導 |
研究概要 |
本研究課題では、骨形成初期に必要不可欠と考えられるMgをトリガーとして生体組織を積極的に刺激し、骨形成の誘導を促すことができるTi-Mg合金を開発することを目的とした。初年度は、Ti-Mg合金の作製方法を確立し、機械的性質および耐食性などの材料学的実験とMgイオンの安全性を中心とした生物学的実験を並行して行う予定であった。しかし、TiとMgは融点が1000℃以上異なることから、融点の低いMgの蒸発を十分に抑えることができず、目的組成のTi-Mg合金を当初の計画通りの方法では得ることができないことがわかった。 当初の計画では、Ti箔で金属Mgを覆い、Tiと混合してアルゴンアーク溶解炉で融解する方法であったが、Ti箔ではMgの蒸発抑制が不十分だった。そこで、Ti箔を1mm厚のTi板に変更し、Mg塊をそのTi板で挟み、さらに、その外側をTi箔で2重に覆って融解を試みたところ、0~5mass%のTi-Mg合金インゴットを作製することができた。合金の作製方法に大半の時間を費やしたため、材料評価を行うに至らなかった。 Ti-Mg合金の作製と並行して行った生物学的実験では、Mgイオンの安全性を確認するため、Mgイオン濃度を30ppm(コントロール)~3000ppmに制御した細胞培養液中で細胞培養を行い、DNAおよびALP活性値の変化を測定した。その結果、1000ppm以下のMgイオンの存在においてDNA量の減少は無く、細胞増殖がコントロールと同等かそれ以上であることがわかった。Mgイオン濃度が3000ppmまで増加すると、コントロールに比べDNA量が減少傾向を示すことから、1000ppm以下におけるALP活性値を測定したところ、5日間の培養において、1000ppmのMgイオンの存在で、ALP活性値がコントロールの比べ有意に増加したことから、Mgイオンの細胞活性を示唆する結果を得た。
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