研究課題/領域番号 |
21390524
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00151803)
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研究分担者 |
山田 陽一 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20345903)
山本 朗仁 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (50244083)
國貞 隆弘 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30205108)
中村 さやか 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40437033)
田中 光郎 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10143596)
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キーワード | 歯髄幹細胞 / 難治性神経疾患 / 神経幹細胞 / 脊髄損傷 / 脊髄小脳変性症 / パーキンソン病 / apoptosis / 神経軸索伸張 |
研究概要 |
名古屋大学倫理委員会の承認を得て、口腔外科外来患者から歯髄幹細胞の提供をうけ、初期性状解析と神経再生能力を検証した。 初期性状解析では以下7項目を明らかにした。(1)頭部神経堤由来と考えられる乳歯や智歯歯髄由来の幹細胞は、骨、軟骨、脂肪への多分化能を示す間葉系幹細胞的な細胞集団である。(2)4継代目ヒト歯髄幹細胞の95%以上は神経幹細胞(Nestin,Doublecortin)、神経細胞(βIII-tubulin)、オリゴデンドロサイト(CNPase)、アストロサイト(GFAP)に特異的な分子マーカーを高率に共発現するユニークな細胞集団である。(3)歯髄幹細胞はin vitroで神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイトに分化する。神経幹細胞的に類似した細胞機能を示す。(4)神経前駆細胞に特異的な転写因子であるNeurogenin1やNeuroDを強く発現している(5)BDNFをはじめとする神経栄養因子を複数産生する。(6)骨髄細胞に較べ、歯髄幹細胞は継代数を重ねても増殖能、分化能を保持する。移植幹細胞数を多く産生する有用な細胞源である。(7)90%の細胞が中脳ドーパミン産生細胞に分化誘導可能であった。 さらに脊髄損傷治療への応用を検証した。ラット完全脊髄損傷モデルへの移植によって、歯髄幹細胞の神経再生能力を評価した。結果以下の3項目を明らかにした(1)歯髄幹細胞移植は脊損ラットの下肢運動機能を改善した。(2)初期過程における神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイトのアポプトーシスを効率的に抑制することで、一次および二次損傷を抑制した。(3)神経突起の伸張を促進する。
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