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2010 年度 実績報告書

遷移金属イオンの生体防御系細胞内での輸送システムの解明と生体安全性との関連評価

研究課題

研究課題/領域番号 21390526
研究機関岩手医科大学

研究代表者

平 雅之  岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60179398)

研究分担者 鍵谷 忠慶  岩手医科大学, 歯学部, 助教 (30405774)
キーワード歯学 / 生体材料 / 細胞・組織 / 遺伝子 / 遷移金属イオン
研究概要

ヒト単球様細胞THP-1(理研細胞銀行)をフォルボースエステル誘導することによってマクロファージに分化させ、銅イオンによる細胞傷害を多面的に評価した。具体的な研究成果は下記の通りであった。
(1)銅イオンがマクロファージの3つの銅イオン輸送蛋白質(チャンネルとトランスポーター)の遺伝子発現に及ぼす影響を調べた。細胞膜に存在し細胞外から細胞内へと銅イオンを導入するトランスポーターのSLC31Al遺伝子(CTRI遺伝子)、細胞膜から小胞体(ER)へ銅を輸送するシャペロンATOX1の遺伝子と銅イオンをER内に導入するトランスポーターATP7Bの遺伝子の発現はいずれも銅イオン量の増加に律い一旦増加し,100micro-mol/L以上では低下した。銅イオンが十分排出されないと酸化ストレスが増大し濃度依存的に細胞生存率を低下させると考えられた。
(2)IC90濃度銅イオンによって5つの蛋白スポットが有意に発現増加した。質量分析の結果、そのうち4つの蛋白スポットがHeat Shock 70kDa Protein(HSP70)1A/1Bに起因することが確認された。IC90濃度銅イオンはマクロファージ内で蛋白質を変性(架橋、フォールディング妨害)するため、HSP70が多量に産生され蛋白質の変性による悪影響を防ぐ働き(防御)が生じたと考えられた。定量PCR実験結果でもHSP70の合成を誘導するHSP1A/1B遺伝子の発現が50倍程度増加することが確認された。MT1A遺伝子とHMOX1遺伝子の有意な発現増加とRAD51遺伝子の発現低下も観察された。IC90濃度銅イオンは金属イオン解毒蛋白と酸化ストレス緩和蛋白の発現増加を誘導するものの、DNA傷害(DNA strand break)修復酵素の産生低下をもたらすと考えられた。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Proteome analyses of human macrophages exposed to low cytotoxic IC90 Cu(2+) ions2011

    • 著者名/発表者名
      Taira, M., Shimoyama Y., Kagiya, T., Sasaki, M., Nezu, T., Harada, H., Kimura, S.
    • 雑誌名

      Dental Materials Journal

      巻: 30(受理済み)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 歯科技工における粉塵について知っておきたいこと2010

    • 著者名/発表者名
      平雅之、齋藤設雄
    • 雑誌名

      日本歯技

      巻: 494 ページ: 33-40

    • URL

      http://www.nichigi.or.jp/about_nichigi/nihonshigi.html

  • [雑誌論文] Histological and TEM observation of subcutaneous tissues exposed to particulate copper, nickel and titanium2010

    • 著者名/発表者名
      Saitoh, S., Sasaki, K., Nezu, T., Taira, M., Shimoyama, Y., Sasaki, M., Kimura, S., Ishizeki, K
    • 雑誌名

      Journal of Oral Tissue Engineering

      巻: 8 ページ: 102-106

    • 査読あり
  • [学会発表] 3種類の純金属に対するマウス背部皮下における生体組織反応の評価2010

    • 著者名/発表者名
      齋藤設雄, 佐々木かおり, 根津尚史, 平雅之, 下山佑, 佐々木実, 木村重信, 石関清人
    • 学会等名
      岩手医科大学歯学会第36回総会
    • 発表場所
      盛岡市
    • 年月日
      2010-12-04
  • [学会発表] 低毒性IC90濃度の銅イオンがマクロファージの蛋白発現に及ぼす影響評価2010

    • 著者名/発表者名
      平雅之
    • 学会等名
      第32回バイオマテリアル学会大会
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      2010-11-30
  • [学会発表] 皮下埋入した金属材料に対する生体組織反応の基礎的評価2010

    • 著者名/発表者名
      齋藤設雄, 佐々木かおり, 根津尚史, 平雅之
    • 学会等名
      第56回日本歯科理工学会学術講演会
    • 発表場所
      岐阜市
    • 年月日
      2010-10-10
  • [学会発表] マクロファージ内における銅イオン輸送蛋白質の遺伝子発現解析2010

    • 著者名/発表者名
      平雅之, 佐々木かおり, 齋藤設雄, 根津尚史
    • 学会等名
      第56回日本歯科理工学会学術講演会
    • 発表場所
      岐阜市
    • 年月日
      2010-10-09
  • [学会発表] 皮下埋入した金属材料が生体組織に及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      齋藤設雄, 佐々木かおり, 根津尚史, 平雅之
    • 学会等名
      ナノ・バイオメディカル学会第3回大会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2010-09-17
  • [図書] ナノ粒子のリスク評価と安全性対策 初版, 亘理文夫 監修 9 ナノ粒子の細胞毒性評価2010

    • 著者名/発表者名
      平雅之
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      フロンティア出版
  • [備考]

    • URL

      http://hitech-d.iwata-med.ac.jp/dmst/index-j.htm

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公開日: 2012-07-19  

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