本年度は以下の要領で研究をおこなった。 I.in vitroの解析 今までの我々の予備実験により、細胞障害性の刺激で、p62欠損(p62(-/-))MEF細胞ではBc1-2が上昇することが解っていることから、アポトーシスとシグナルについて解析した。 1)FACSをもちいたアポトーシスの解析 p62(+/+)およびp62(-/-)MEF細胞にDNA傷害性の刺激としてシグナル経路の明確なUVBを選択し、300、600mJ/cm2のUVB照射を行い、アネキシンVとヨードプロピジウムでラベルし、FACS解析によりアポトーシスの割合を調べたところ、p62(-/-)MEF細胞ではアポトーシスが低下していることがわかった。 2)アポトーシスシグナルの解析 i)リン酸化シグナルの検索:p62(-/-)およびp62(+/+)のMEF細胞に対して300、600mJ/cm2のUVB照射を行い、ウェスタンブロットによるSTAT3のリン酸化でシグナルの検索を行った。その結果、62(-/-)ではリン酸化は亢進していた。 ii)p62のアポトーシスシグナルの検索のため、同じ転写因子のNrf2の制御下にあるPrx Iについても検索したところ、PrxI(-/-)MEF細胞についてはアポトーシスを起こしやすいことが解った。 II.in vivoの解析 1)DNA傷害によるアポトーシスの実験 10週齢のp62(+/+)およびp62(-/-)マウスに対して、200mJ/cm2のUVBを照射し36時間後に採取し、TUNEL染色を行いアポトーシスを比較した。その結果、p62(-/-)ではアポトーシスが減少していた。 2) DNA傷害による発癌実験 10週齢のp62(+/+)およびp62(-/-)マウスの剃毛した背部に、300mJ/cm2のUVBを 週三回照射し照射を続け、癌の発生率の検討を開始したが、C57BLでは発癌に至る前に死亡するためアポトーシスの検索に切り替えた。
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