研究課題
本研究では、厳密な3次元形状の維持を必要とする口腔外科領域への再生軟骨の応用法を確立することを目的とし、再生軟骨ペレットを三次元的に癒合させてスカフォールドフリーの再生軟骨を作製し、かつ、再生軟骨が移植後に吸収されないように母床組織の組織張力を調節する手術手技を確立する。第3年次である本年度では、1)移植部位の母床形成および組織張力の軽減のための処置検討、ならびに2)ビーグル犬を用いたin vivo実証実験、を検討した。1)移植部位の母床形成および組織張力の軽減のための処置検討、では、再生組織の皮下移植に先行してシリコンテンプレートを皮下に移植し、移植母床の形成、組織張力の軽減を計る手法を、昨年に引き続き、本年もヌードマウスを用いて検討した。再生軟骨を皮下移植する際に、あらかじめ、リコンテンプレートを移植し、移植後4週間で、移植したシリコンテンプレートを抜去し、その空間に再生軟骨を挿入し、移植後の形状を追跡した。その結果、移植軟骨と同一サイズのシリコンテンプレートの移植により、最長6ヶ月で移植後の再生軟骨の3次元形状が維持されやすいことが示唆された。2)ビーグル犬を用いたin vivo実証実験、においては、これまで検討した作製方法、移植方法に準じ、ビーグル犬(8ヶ月齢オス)の細胞を用いて、鼻形成術に用いるL字型再生軟骨を作製し、自家再生組織移植を行った。ビーグル犬より全身麻酔下に軟骨を採取し、軟骨細胞を単離した。また、個体には前項に順じL字型シリコンインプラントを背部皮下に移植した。単離した軟骨細胞はイヌ自己血清下で培養し、再生軟骨を、シリコンインプラントを抜去した背部皮下ポケットに移植した。移植後の形状を追跡したが、移植軟骨と同一サイズのシリコンテンプレートの移植により、最長6ヶ月で移植後の再生軟骨の3次元形状が維持されやすいことが明らかとなった。一方、ビーグルの皮下組織においては摩擦が大きく、移植軟骨とシリコンテンプレートの大きさが同一の場合は、移植軟骨の挿入が難しい傾向があったので、テンプレートは若干大き目がよいと考察された。
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J Tissue Eng Regen Med
巻: 97(2) ページ: 186-92
10.1002/term.458
Tissue Eng Part C Methods
巻: (掲載確定)(in press)
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J Biosci Bioeng
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