研究課題/領域番号 |
21390535
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古郷 幹彦 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20205371)
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研究分担者 |
田中 晋 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招聘教員 (00367541)
榎本 明史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招聘教員 (70432549)
辻 忠孝 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50527231)
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キーワード | 摂食行動 / 顎運動 / 脳幹 / オレキシン |
研究概要 |
三叉神経系ニューロンにおける活動特性のオレキシン作動性神経修飾作用 摂食行動や睡眠覚醒レベルの制御に関与する生理活性ペプチドであるオレキシンは、視床下部外側野に存在するニューロンより発現し、三叉神経運動核、中脳路核を含む中枢神経系の広い範囲に投射していることが報告されている。われわれはin vivoにおける昨年度の研究より、脳内オレキシン濃度が上昇することで、摂食量の増大のみならず、咀嚼筋活動特性を含む摂食行動パターンが促進されることを明らかとしてきた。そこで今年度は、咀嚼運動の基本パターンを形成する三叉神経系ニューロンの活動特性がオレキシンにより如何なる神経修飾作用を受けているか明らかにする目的で電気生理学的検討を行った。 研究方法:対象にはSD系新生仔ラット(P2-12)を用いた。三叉神経運動核(MoV)、中脳路核(MesV)を含む厚さ300μmの脳幹冠状スライス標本を作製し、赤外線透視下にて単一ニューロンからK-gluconateを含む標準的内液を注入した先端抵抗値3-4MΩのパッチ電極を用いてホールセル記録を行った。記録用標準人工脳脊髄液還流下でオレキシン受容体作動薬(Orexin-A 100nM)投与前後における両ニューロンの活動電位特性ならびに反復発射活動特性変化についてそれぞれ検討した。 研究結果:Orexin-A投与により、MoV、MesV両ニューロンの静止膜電位は脱分極を引き起こした。MoVニューロンでは活動電位最大振幅値の増大と反復発射頻度の上昇による興奮性の増大が観察されたのに対して、MesVニューロンでは活動電位特性に有意な変化はみられず、反復発射頻度が下降することにより興奮性は逆に抑制される傾向がみられた。摂食中枢からのオレキシン作動性入力により、三叉神経系ニューロンの活動特性は運動系-感覚系それぞれが相反した神経修飾作用を受けていることが明らかとなった。
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