8週齢Jcl-ICRマウス舌筋由来Sca-1陽性細胞を自動磁気細胞分離装置(auto MACS[○!R])にて採取し、増殖培地(MACS)を用いて培養後、骨分化誘導培地(MACS)にて培養し、幹細胞マーカー、前骨芽細胞マーカー、骨芽細胞のマーカー、骨関連蛋白の発現をWestern blot法ならびにELISAにて検索し、マウス舌筋由来幹細胞から骨への分化誘導につき評価した。その結果、舌筋由来Sca-1陽性細胞を骨分化誘導培地処理することにより、間葉系幹細胞マーカーSca-1は5日目以降、c-kitは7日目以降に発現減弱を認め、前骨芽細胞マーカーOsterixは3日目まで発現増強し5日目以降発現減弱を示し、分化のマスター遺伝子RUNX2は5日目まで発現増強し、7日目以降発現減弱を示した。接着因子Fibronectinは7日目まで発現増強し、骨関連蛋白であるOsteocalcinは7日目以降21日目までにその発現を認め、Osteonectinは10日目以降21日目まで発現増強し、Osteopontinは10日目以降21日目まで発現増強を示した。また骨芽細胞マーカーAlkaline phosphataseの活性は10日目まで上昇し、以降低下した。以上の結果からマウス舌筋由来Sca-1陽性細胞は、骨芽細胞への分化能を有しており、骨再生に有用である可能性が示唆された。Sca-1陽性細胞をハイドロキシアパタイト+乳酸系ポリマーハイブリッド材料(GC研究用scaffold)と共に培養し、骨分化誘導培地を用いて分化誘導させ、4週齢Balb/cヌードマウス背部皮下へ移植し骨組織再生を試みたところ移植後4W、8W、12Wの時点では、血管に富み骨髄様組織は見られたものの骨組織の形成は認められなかった。臨床で用いられている骨髄組織由来の間葉系幹細胞は骨髄組織採取による侵襲が大きいが、舌筋由来幹細胞は舌筋の採取が比較的簡便かつ低侵襲であり、骨再生医療の向上に大きく貢献できると考えられる。
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